2025.3.8講談社『週刊現代』2025年3月8日号『「SNS」でゆがむ世界』に弊社取締役の西田がコメント提供しました。
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糸賀 修
    学校法人つくば開成学園 理事長
    いとが・おさむ/理系大学卒業後、定職に就かず6年半。2年半の都市計画事業に携わった後、4校の私立高校教員を経て現在に至る。進学校に進みながら学校生活に疲れた生徒たちを見て、通信制高校に興味を持ち、通信制の可能性を生かしたいと奮闘している。
    金子 豊
      学校法人山口精華学園 理事長 学校統括責任者
      かねこ・ゆたか/2009年、学校法人山口精華学園を設立し、精華学園高等学校を開校。通信制高校への偏見をなくし、実社会に直結する多様な学びのコースを提供。生徒に「なぜ学ぶのか」を考えさせ、学びの楽しさを伝える教育環境づくりに尽力している。

      起業家の堀江貴文氏や成田修造氏などが参入して話題の通信制高校。その数は年々増加の一途をたどり、なんと、2023年時点で00年の約3倍となる300校に届く人気っぷりだ。通信制高校の広域通信制高校の理事長を務める2人に注目の理由、そして今後の動向を伺った。

      少子化時代、なぜか通信制高校は数を伸ばしています。

      糸賀理事長まず背景には、生徒を確保するために既存校が通信制をつくってきたという状況があります。また、起業家の成田修造氏や堀江貴文氏らが通信制高校設立に参入して話題になったのも大きい。なんと、2024年度に開校した20校前後の通信制高校のうち、7割近くは全日制高校と提携しています。今や約3人に1人は通信制に進学する時代なのです。

      人気校の特徴は何ですか。

      糸賀理事長生徒の興味関心に応じてさまざまなカリキュラムを選択しやすいことです。大学進学を目指す生徒のために「特進講座」を設置する学校もあります。既存の価値観にとらわれない自由度の高い学校が人気です。
      通信制高校にも公私立があり、私立はいつ登校してもよい自由さが特徴です。一方、公立は週に1回以上のスクーリングがあるなど自由度は少なめです。単位取得や卒業のしやすさは私立に軍配が上がるでしょう。

      金子理事長進路などは、こうしたカリキュラムの自由さがあらゆる可能性を広げます。
      例えば、うちの生徒でカナダの名門大学であるブリティッシュコロンビア大学に現役合格した子がいます。
      欧米の名門校に行くには3〜6カ月ほどアンダースクールに通うことが多いのですが、通信制なら留学している間もタブレットで高校の勉強が可能です。
      「好きなこと」をベースに知識を得ることは、絶対に楽しいんです。例えば、ゲーム配信で人気の『ApexLegends』などの世界的な対戦系ゲームではコミュニケーションがほとんど英語なので、このゲームでランクを上げたければ英語力が必要になる。いやが応でも力がつきます。

      新設の通信制高校の人気分野にも変化があるようです。この傾向について教えてください。

      糸賀理事長人気、不人気はまさに時代の変化を象徴していますね。
      近年は、特にエンタメ系は人気で、むしろ教える側の人材が不足しているといえます。

      金子理事長IT・デジタルもeスポーツもプログラミングも、コースを開講したにもかかわらず指導者がいないのでは話になりません。
      例えば、うちの声優コースでは、現役の声優の方に映像授業、直接指導をしていただき、毎年声優事務所の合格者を出しています。
      他コースにおいてもレベルの高い講師をいかに招聘するかが大事だと考えています。

      自由度の高さは、今後大学入試に有利になる

      今注目している通信制高校はありますか。

      金子理事長やはり角川ドワンゴ学園が設立したN高ですね。S高、R高と旗艦校を開校し続け、いよいよ6万人規模の広域通信制高校となるようです。

      糸賀理事長25年春からは全国100カ所に校舎を拡大するのだとか。

      金子理事長ZEN大学という受け入れ先があるのも強い。

      糸賀理事長入学定員3500名という箱は魅力的です。学費も安価で、良い進学先になります。
      他ですと、全国にキャンパスがある飛鳥未来高等学校に注目しています。つくば開成学園高等学校でいう大阪校がここに近く、専門学校のような良さがある。さらに、伸びしろで言えば、やはり精華学園高等学校でしょうね。

      金子理事長ありがとうございます。

      大学入試で今増えている総合型選抜は、通信制高校との相性は良いですか。活動実績づくりに割ける自由な時間が多く、先生に相談しやすいと聞きます。

      糸賀理事長大学進学を目指す生徒は増えていますが、今のところストレートに総合型選抜を見据えるのは一部という印象ですね。
      大学入試を全体的に俯瞰すると、得意分野を伸ばすことで評定平均を上げられる通信制のほうが、よりレベルの高い大学に届く確度は高いといえます。

      金子理事長そもそも全日制は、大学受験に対して無駄が多すぎます。その点、通信制なら必要科目だけを受講できるので、得意科目は早めに終わらせ、苦手科目を重点的に克服することも可能です。
      結果的に、総合型選抜に生かせるさまざまな活動につながると思いますね。

      これから通信制高校はどうなっていきますか。

      糸賀理事長今、高校の在り方そのものを考えなければならない時代に差し掛かっています。不登校の子らが居場所や好きなこと、友達を見つけ、社会に出ていけるような3年間をどう提供するか。
      今年、四谷学院まで通信制高校を開学しました。あの塾は良い立地に校舎を展開してきています。これは強い。

      金子理事長確かに、さまざまな悩みを抱える生徒がいる中で、通いたくなる立地は大事です。

      塾の先生へのメッセージをお願いします。

      糸賀理事長不登校の生徒が集まる塾は、先生が親身になってくれている良い塾です。

      さらに友達づくりができる環境があれば、子どもの居場所としてなお良しです。

      金子理事長塾で進路指導をしてほしいです。
      地方だと特に、全日制しか選択肢がありません。全日制・通信制のよさをそれぞれ伝えてもらえたらありがたいです。

      ルートマップマガジン社 取締役/雑誌編集局 ルートマップマガジン編集部 編集長
      追手門学院大学客員教授、教育ジャーナリスト、『大学ジャーナル』編集部 編集委員、アロー教育総合研究所 客員研究員。2016年 ダイヤモンド社『週刊ダイヤモンド』記者(学校・教育産業担当)、他学習塾業界誌の私塾界『月刊私塾界』、塾と教育社『月刊塾と教育』記者、追手門学院大学アサーティブ研究センター客員研究員を経て20年から現職。『現代ビジネス』『週刊朝日』『サンデー毎日』『週刊エコノミスト』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』『週刊ダイヤモンド』『ダイヤモンド・オンライン』など教育関連記事の寄稿、コメント多数。全国4,000塾、予備校(関係者20,000人)の取材達成(2022年11月現在)。
      著者に『医学部&医者』『関関同立』『最強の高校』(すべて週刊ダイヤモンド 特集BOOKS ダイヤモンド社)など。放送大学大学院文化科学研究科修士課程在籍中

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