志願者数は、史上2番目に多い5万人超えを記録し、一般選抜入学者比率も倍増した関西学院大学。そして、創立140周年(2029年)まで改革が目白押しだ。創立の地、神戸市灘区に新設する「王子キャンパス」から、学部再編で注目される理系学部までの最新動向を学長に伺った。
23年度は全日程の入試を東京、大阪(北・南)、名古屋、広島、姫路など、全国10都市の会場で行い、全入試方式の中で募集人数が最も多い2月1日、2日は、全国23都市で受験可能にしました。
24 年度は静岡(浜松)と三重(津)に試験地を新設、京都試験地では全ての日程を受験可能にします。
理系学部では、共通テスト利用入試で3教科型を導入する等、引き続き「受験生ファースト」の改革を進めていきます。
総合型選抜では、「探究評価型入試」(高校での探究活動を評価)を、約10年前から他に先駆けて実施。本年度入試は前年比146%でした。
いずれにしても、本学は、多種多様な入試制度でさまざまなバックグラウンドを持つ生徒に来ていただくことも重視しています。
国公立大の併願者増
理系学部で顕著
さらに、本学の魅力を高めるために特に理系学部の設備、就職、研究面を充実させます。
物理・宇宙学科では電波天文学が学べるほか、南極での極地研究をしている先生もおられます。
こうしたラインナップを持つ大学は全国的にそう多くありません。JAXA(宇宙航空研究開発機構)、国立極地研究所にご協力いただきつつ、物質から宇宙まで幅広くフィールドにできる学部として打ち出しています。
さらに今年は、本学にはない分野で他大学と連携して国の補助事業等への応募も計画しています。
このように、本学は積極的に他大学とも協力し、「教育」「研究」「社会貢献」の取り組みをさらに推進します。
さらに、25年4月には近接地に起業の拠点となるインキュベーション施設と学生寮(300人収容)、それにフィットネスジムのある商業施設を併設する「KSC CoーCreation Village【Cビレッジ】」を開設します。
これに加えて、同窓会の公認団体にもご協力いただき、起業した卒業生を講師として招き、学生のスタートアップ立ち上げをサポートする体制を整えます。
塾関係者注目の
新キャンパス構想
そして、創立140周年にあたる29年4月の王子キャンパス開設に向けて着々と進めています。
昨年12月に神戸市と基本協定を結びました。今年中には、土地の譲渡契約を締結見込みです。
これからの本学は「伝統と革新」をキーワードに大学の在り方を追究します。
伝統や規模は人文学系の西宮市の上ケ原キャンパス(8学部)と、聖和キャンパス(1学部)、理工系は神戸三田キャンパス(5学部)、DXなど新しいことは王子キャンパス(4000人、約2割が留学生を見込む)とし、棲み分けるつもりです。それぞれの特徴と強みを明確にしていきます。
王子キャンパスは、隣接する阪急はもちろん、JRや阪神線からも徒歩10分程度。大阪や姫路からも乗り換えなしで通学可能です。
研究者の皆様も来やすく、新幹線の新神戸駅からタクシーでワンメーター程度とアクセスは抜群になります。
教学の内容は、学際性、国際性、そして文理融合型を重視する予定です。特に国際化に関しては、150年前から国際都市であったここ神戸で、英語で学位取得ができるトラックの設置を構想中です。高等教育需要が高いインドや東南アジアから優秀な学生を集めます。
近くにある神戸空港からも、2030年頃からアジアへの定期便が就航予定で、留学生獲得のチャンスになると思っています。 (談)
(2024年5月取材/文責 西田 浩史)