2024.6.26東洋経済新報社主催のイベント『10年後の勝ち組はここだ 「本当に強い大学」の選び方』に弊社取締役の西田が登壇しました。
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「伝統と革新」を標語に総合大学として進化する

森康俊
    関西学院大学 学長
    もり・やすとし/18代学長。1993年大阪市立大学法学部卒業。96年東京大学大学院社会学研究科修士課程修了。99年東京大学助手に。その後大妻女子大学専任講師を経て2003年関西学院大学社会学部社会学科専任講師。准教授、教授、副学部長、先端社会研究所所長、社会学部長・社会学研究科委員長を経て23年より現職。大阪府出身
    関西学院大学ホームページ

    志願者数は、史上2番目に多い5万人超えを記録し、一般選抜入学者比率も倍増した関西学院大学。そして、創立140周年(2029年)まで改革が目白押しだ。創立の地、神戸市灘区に新設する「王子キャンパス」から、学部再編で注目される理系学部までの最新動向を学長に伺った。

    弊誌調査の全国300塾の「W(ダブル)合格」では、「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)で同志社大学に次ぐ2位に上昇。学部別では、国際が、4大学中トップです。法、経済、商は、同志社大に次ぐ位置です。

    学長2024年の一般選抜志願者数は、1975年に次ぐ史上2番目に高い5万2624人でした。この結果とW合格は、本学の教育や就職支援が塾や高校からも評価された喜ばしい結果です。

    同志社大の志願者数を14年ぶりに上回っています。18歳人口が過去最低の状況を考えるとさらにすごい。

    学長ありがとうございます。

    なんといっても貴学は、「一般選抜入学者比率」がここ数年間で急伸しました。最新の2024年度入試でも54・3%とさらに上昇しています。

    学長受験生一人ひとりの得意科目を活かせる学部個別日程の「傾斜配点型方式」の導入のほか、試験地の新設、試験の実施日も拡大させてきました。

    23年度は全日程の入試を東京、大阪(北・南)、名古屋、広島、姫路など、全国10都市の会場で行い、全入試方式の中で募集人数が最も多い2月1日、2日は、全国23都市で受験可能にしました。

    24 年度は静岡(浜松)と三重(津)に試験地を新設、京都試験地では全ての日程を受験可能にします。

    理系学部では、共通テスト利用入試で3教科型を導入する等、引き続き「受験生ファースト」の改革を進めていきます。

    総合型選抜では、「探究評価型入試」(高校での探究活動を評価)を、約10年前から他に先駆けて実施。本年度入試は前年比146%でした。

    いずれにしても、本学は、多種多様な入試制度でさまざまなバックグラウンドを持つ生徒に来ていただくことも重視しています。

    国公立大の併願者増
    理系学部で顕著

    神戸大学、大阪公立大学、岡山大学、兵庫県立大学、名古屋工業大学、名古屋市立大学などとの併願が増加(関西119塾調査による)しています。特に、貴学理系学部で伸びが顕著です。新設の共通テスト利用入試(以下、共通テスト)の「7科目型」入試の志願者も多く集まりました。経済学部と商学部でW合格が岡山大学と拮抗するなど、上昇傾向です。

    学長本学は、このように国公立大学との併願が増え、本学への進学意欲が高まっている状況は喜ばしいことだと考えます。

    さらに、本学の魅力を高めるために特に理系学部の設備、就職、研究面を充実させます。

    神戸三田キャンパス(以下、KSC)では、21年に理工学部を理、工、建築、生命環境学部の4学部に改組。施設のリニューアル、入試方式の変更、大阪梅田・新大阪、神戸三宮からの直行バスを充実させるなどの改革で、志願者がほぼ倍増しています。

    学長理学部は、一般選抜比率が約7割と高く、進学校からの志願者も増えました。

    物理・宇宙学科では電波天文学が学べるほか、南極での極地研究をしている先生もおられます。

    こうしたラインナップを持つ大学は全国的にそう多くありません。JAXA(宇宙航空研究開発機構)、国立極地研究所にご協力いただきつつ、物質から宇宙まで幅広くフィールドにできる学部として打ち出しています。

    さらに今年は、本学にはない分野で他大学と連携して国の補助事業等への応募も計画しています。

    このように、本学は積極的に他大学とも協力し、「教育」「研究」「社会貢献」の取り組みをさらに推進します。

    KSCは、学生寮と起業家の育成を一体にした施設が来春に開設しますね。

    学長KSCの強みは、なんといっても、欧米のトップ大学のように、学生が24時間キャンパスで生活しつつ研究に打ち込める環境にあることです。

    さらに、25年4月には近接地に起業の拠点となるインキュベーション施設と学生寮(300人収容)、それにフィットネスジムのある商業施設を併設する「KSC CoーCreation Village【Cビレッジ】」を開設します。

    これに加えて、同窓会の公認団体にもご協力いただき、起業した卒業生を講師として招き、学生のスタートアップ立ち上げをサポートする体制を整えます。

    関西最強の貴学同窓会とのタッグはすごい。

    学長起業で成功した先輩から刺激をたくさん受けてほしいです。

    塾関係者注目の
    新キャンパス構想

    29年に神戸市灘区に新設の「王子キャンパス」(仮称)について教えてください。

    学長王子公園周辺は、関西学院の創設の地でもあります。

    そして、創立140周年にあたる29年4月の王子キャンパス開設に向けて着々と進めています。

    昨年12月に神戸市と基本協定を結びました。今年中には、土地の譲渡契約を締結見込みです。

    これからの本学は「伝統と革新」をキーワードに大学の在り方を追究します。

    伝統や規模は人文学系の西宮市の上ケ原キャンパス(8学部)と、聖和キャンパス(1学部)、理工系は神戸三田キャンパス(5学部)、DXなど新しいことは王子キャンパス(4000人、約2割が留学生を見込む)とし、棲み分けるつもりです。それぞれの特徴と強みを明確にしていきます。

    王子キャンパスは、隣接する阪急はもちろん、JRや阪神線からも徒歩10分程度。大阪や姫路からも乗り換えなしで通学可能です。

    研究者の皆様も来やすく、新幹線の新神戸駅からタクシーでワンメーター程度とアクセスは抜群になります。

    教学の内容は、学際性、国際性、そして文理融合型を重視する予定です。特に国際化に関しては、150年前から国際都市であったここ神戸で、英語で学位取得ができるトラックの設置を構想中です。高等教育需要が高いインドや東南アジアから優秀な学生を集めます。

    近くにある神戸空港からも、2030年頃からアジアへの定期便が就航予定で、留学生獲得のチャンスになると思っています。 (談)

    (2024年5月取材/文責 西田 浩史)

    ルートマップマガジン社 取締役/雑誌編集局 ルートマップマガジン編集部 編集長
    追手門学院大学客員教授、教育ジャーナリスト、『大学ジャーナル』編集部 編集委員、アロー教育総合研究所 客員研究員。2016年 ダイヤモンド社『週刊ダイヤモンド』記者(学校・教育産業担当)、他学習塾業界誌の私塾界『月刊私塾界』、塾と教育社『月刊塾と教育』記者、追手門学院大学アサーティブ研究センター客員研究員を経て20年から現職。『現代ビジネス』『週刊朝日』『サンデー毎日』『週刊エコノミスト』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』『週刊ダイヤモンド』『ダイヤモンド・オンライン』など教育関連記事の寄稿、コメント多数。全国4,000塾、予備校(関係者20,000人)の取材達成(2022年11月現在)。
    著者に『医学部&医者』『関関同立』『最強の高校』(すべて週刊ダイヤモンド 特集BOOKS ダイヤモンド社)など。放送大学大学院文化科学研究科修士課程在籍中

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