2025.7.22新潮社「デイリー新潮」に弊社取締役の西田が寄稿しました
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どうなる?城南進学研究社の新たな経営方針・体制
年内入試対策を軸に、塾・高・大の連携を目指す

千島 克哉
城南進学研究社 代表取締役社長CEO
ちしま・かつや/1971年埼玉県生まれ。2013年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科(博士前期課程)修了。MBA取得。19年株式会社城南進学研究社のCOOに就任。「幼児教室くぼたのうけん」「ZOOフォニックスアカデミー」など業界注目の幼児教室などを手掛けてきた。25年9月より現職

慶應義塾大学法学部をはじめとする難関大学への合格実績が過去最高を記録した「城南推薦塾」を軸に、年内入試対策へ大きくかじを切った城南進学研究社。高校教員向けの年内入試対策講座の展開など、従来の受験指導の枠を超えた取り組みも注目を集めている。2025年9月、新たに代表取締役社長CEOに就任した千島克哉氏に、年内入試をめぐる現状認識と、将来の企業のビジョンについて話を聞いた。

貴社は、塾業界の中でも先進的な取り組みをされている印象を業界関係者は持っています。今回、学校推薦型・総合型選抜といった年内入試へ企業の体制を大きく転換された背景をお聞かせください。

千島私たちは、城南予備校の時代からAO入試対策として、チューターが生徒を継続的にサポートしてきました。データも長年にわたり蓄積しており、例えば、「面接会場には面接官が何人いて、どんな質問を受け、それに対してどう答えたか」というアンケートを毎年集積しています。これは、なかなかない強みであり、差別化の源泉でもあります。

今や、一般入試の割合は4割を切り、年内入試は大学受験のメインストリームとなりつつあります。当社は、まさにこの分野の情報を蓄積して戦い、勝ってきた歴史があるので、業界に先駆けて「城南推薦塾」を作ることができました。

河合塾さんなど大手の予備校は一般入試対策をメインに大きな市場シェアをこれまで占めてきましたが、当社の取り組みにようやく時代が追いついてきた感覚を持っています。

これからは、「城南推薦塾」や「城南コベッツ」で培ったノウハウを、「推薦ラボ」等のソリューションとして全国の高校・学習塾様にも提供し、 教育業界全体で年内入試対策の質を底上げするトップランナーを目指す、それが、いま私たちが掲げている目標です。

年内入試へのシフトは、かなり思い切った決断にも見えます。

千島私たちは、もともと「城南予備校」という予備校で創業し、上場した会社で、大規模な校舎展開をしてきました。それが、少子化による受験者数の減少や、総合型・学校推薦型選抜の拡大によるニーズの変化に応えるため、2019年に集団授業を廃止し、個別指導形式へとビジネスモデルを転換しました。今はもう社内に「予備校」という形態はございません。

だからこそ、「変化に対応できなければ本当にまずい」という感覚は、会社の中に強く組み込まれています。

具体的には、どのような取り組みを進めていくのでしょうか。

千島象徴的な取り組みの一つが、26年春にリリース予定のウェブアプリケーション「推薦ラボ」です。総合型・学校推薦型選抜対策や探究学習の指導に活用できるツールとして開発しています。

40枚のワークシート、映像授業、添削サービスをセットにし、書類作成や面接対策だけでなく、生徒の自己分析や大学進学の動機づけまでを一貫して支援していきます。

年内入試対策を、属人的な指導ではなく、再現性のある「仕組み」として提供することが狙いです。

年内入試が主軸となる現在の大学受験を、どのように捉えていますか。また、課題はなんですか。

千島受験生には、年内入試が「学力不足の逃げ道」や「早期決着のための手段」として捉えられている側面があります。

一方で、学力上位層には、合格可能性を最大化するための戦略的選択肢になっているのも事実です。

さらに、高校の先生方の立場に目を向けると、働き方改革による業務削減が求められる中で、志望校ごとの出願要件の把握、添削、面接指導までを個別に担うことは、大きな負担になっています。年内入試に確立された指導メソッドが少ないことも、負担を増幅させているといえます。

こうした構造的なリソース不足によって生まれているのが、〝教育の空白〟だと考えています。

「推薦ラボ」をはじめとする私たちの取り組みは、その空白を埋め、高校や先生方を支える仕組みを提供するものです。

高校教員を対象とした「探究学習&年内入試勉強会」も、そうした文脈に位置づけられるのでしょうか。

千島はい。現在は私立高校を中心に、特に若手の先生方に多くご参加いただき、好評を得ています。

探究学習そのものは軌道に乗りつつありますが、「それをどう入試や将来につなげるのか」という出口戦略に不安を抱える先生は少なくありません。そこで、私たちが一方的に答えを提示するのではなく、「一緒に考えていきましょう」というスタンスで場を作っています。

課題意識の高い方々が本音で意見を交わせる環境だからこそ、年内入試のあるべき姿や、その対策が見えてくると感じています。

アドミッション・ポリシー
など具体化が急務

年内入試対策で重視しているポイントは何ですか。

千島総合型選抜など年内入試は、本来、生徒の資質や目標、努力の過程を評価し、大学での専門的な学びや、その先の社会での活躍につなげるための機会であるべきです。

それが「偏差値が高い大学を狙える」「早く合格が決まる」といったやすきに流れる風潮や、塾業界がビジネスとして早期対策を過度にあおる構造には強い危機感を覚えています。

年内入試対策や合格後の期間を、「プレ・カレッジ」の時間として捉え直し、大学や高校の先生方とも連携しながら、 生徒の資質・能力を伸ばす価値あるプロセスにしていきたいです。入試対策そのものが、生徒が本当にやりたいことを見つけ、それを実現するための機会になります。

今後、大学側に期待することはありますか。

千島まず、各大学のアドミッション・ポリシーを、より具体的に言語化してほしいです。今は抽象的で分かりづらいものが多いです。

総合型選抜の「評価基準」についても、可能な範囲で可視化を進めてもらいたいです。

さらに、年内入試入学者の大学での評定平均や退学率、卒業後の進路、ゼミ長を務めた割合など、入学後の成長や活躍が公開されれば、生徒のモチベーションも上がるはずです。年内入試を経て成長していく生徒の姿が見えれば、高校や塾の指導者も、より自信を持って生徒を送り出せるでしょう。

大学入試自体の教育的な価値を一緒に高めていくためにも、ぜひ大学にはこれら取り組みに協力してもらいたいと考えています。

年内入試を起点に、高校・塾・大学がつながる教育の姿を描いているわけですね。

千島年内入試をきっかけに、産学の接続を強めたいと思っています。

特に、大学の「入学前教育」は、形式的な取り組みにとどまっている大学も多いです。おそらく、その背景には、大学の職員の方々を悩ませている構造上の課題があるはずです。

そこで当社は、総合教育ソリューション企業として、合格者の意欲を引き出して、入学までに備えるべき資質を高めていくようなプログラムを提供したいと考えています。これは塾だからこそ創造できる価値になります。

このプログラムにより、塾と高校、大学が教育でシームレスに連携する世界をつくれれば、入試プロセスの教育的価値も飛躍的に高められます。それこそが、当社がいま描いているビジョンの先にあるものです。(談)

(2025年12月取材)

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