このまま進めば、まず人件費や施設費、教育研究経費などが削減され、教育環境やサービスの質が低下する上、最悪の場合は大学がなくなってしまうケースもあります。進路指導に携わる方にとっても他人事ではないといえます。
定員割れと財政悪化は「ニアリーイコール」の関係です。中には明海大学さんのように定員割れしていても資産運用などで授業料収入をカバーできるだけの十分な利益を出している大学もありますが、それは例外中の例外です。
よって、定員割れ=ほぼ財政悪化しているとみなせます。これが一番分かりやすい基準でしょう。財政が悪化すると、補助金の不交付などが重なり、二重の「負のスパイラル」が発生します。(下図)

「定員割れ」が経営悪化の始まりか

3年連続で8割を切ると、新入生に修学支援金が出なくなる(高等教育の修学支援新制度)リスクだけでなく、9割を切ると大学に交付される補助金(私立大学等経常費補助金)も段階的に減額されます。
そして、7割を切った大学はかなり危険です。授業料収入がさらに減って財務状況が悪化するのはもちろん、29年度からは新学部の設置もできなくなるので、起死回生の手も打てません。
学部新設ができなくなる29年度以降まであと数年しかありません。そうなると、譲り受け手にとっても魅力が激減します。つまり、売りたくても売れず、かと言って簡単に閉校することもできない、という身動きが取れない状況になってしまいます。
よって、ここ数年で定員の回復なり譲り受け手を見つけるなりする必要があります。
大学の「教育活動収支」と「長期借入金」をチェック

次に、負債総額(借金)が資産総額を超えていないかどうかが重要です。
借金は投資にも使うことがありますし、それ自体が悪いわけではありません。ただ、借金の額が多いほど、何かあったときに手を打ちにくくなります。
これからは少子化で、入学者数も年々減りますし、やはり、財政的に余裕のある大学の方が安心といえます。
なお、負債総額が資産総額を上回ると国からの補助金も停止されてしまいます。
ちなみに、総資産額は「資産の部」の合計額を確認してください。
専門家はもっと細かく項目をチェックしますが、ざっくりとリスクを把握するのであればこのくらいで大丈夫でしょう。
「じゃあM&Aで大学統合したりすればいいだろう。わざわざ閉校することはない」という声も聞きますが、前々号でもお話した通りで、統合は簡単ではありません。むしろ経営が傾いている大学の多くは、譲り受けてもらうことすらできない状況といえます。
よって、ぜひ進路指導に関わる皆さまには、真剣に大学の経営リスクも踏まえた上で生徒さんの進学先の大学をご検討いただくのがよいと思います。
