関西私立大学の雄「関西学院大学」。ヴォーリズ建築による時計台をはじめ美しいキャンパスで有名な総合大学だ。主に文系の西宮上ケ原キャンパス・西宮聖和キャンパス、25年に寮など複合施設の新設や、理系への注力で話題になっている神戸三田キャンパスなど6つのキャンパスからなる。さらに、創立の地である神戸市・王子公園にキャンパスを構想・検討中である
とりわけ建築学という学問は、文化的要素が強いので、本学の強みを活かした、いわゆる「関西学院らしい」展開をしたいと思っています。
そもそも本学はヴォーリズ建築の校舎が原点というところもあって、実は、建築学部の構想は長らくあたためてきたものでした。
いずれ、「建築学なら関学」という流れをつくっていけると期待しています。
キャンパスの滞在時間が長い理系学生のために新しく寮とインキュベーション機能を備えた複合施設を、25年4月に神戸三田キャンパスの隣接地に新設します。(下図参照)
また、神戸三田キャンパスへの通学には二連バス(連節バス)があります。こちらもカリフォルニア大学バークレー校のような海外の理系大学に近い雰囲気です。また、大阪梅田、新大阪、三宮の3駅から直通バスがあり、乗り換え不要で在学生からも好評です。
学問分野では、JAXA(宇宙航空研究開発機構)とともに、はやぶさ2の実物大模型の展示といったイベントを行うなど、「宇宙学」にも力をいれています(下図参照)。さらに、宇宙や物理の分野、工学部のパワー半導体材料SiCウエハーなど特色あふれる研究室が多くあります。
その上で、アットホームな研究室などの良さを積極的に示し、「リケジョ」(理系女子)にも、学びやすい環境を提供したいと思っています。
現在、他大学でも新校舎を建てるなどキャンパスアメニティを充実させる動きが活発です。
よって、近年の大学のキャンパスは、働きやすい環境を備えたオフィスに近づいているといえます。そのようなところで学ぶと、卒業後、社会に出ても違和感がなく過ごすことができる良さがあるでしょう。
新キャンパスと学部は
日本唯一のものを構想
今後、あらゆる方との議論を重ね、さらに具体化していきます。
新学部は今後検討を進めることになりますが、社会課題の解決に焦点を据えた「学際的な学び」を重視した、これまでの日本には無い新しい教育組織を作りたいと考えています。また、国際都市神戸にふさわしい、世界から学生が集まるキャンパスを構想しています。
もちろん、新キャンパスができても、西宮上ケ原キャンパスが本部機能を担うのは変わりません。
新キャンパス完成をきっかけに、各キャンパスが相乗的に本学全体の社会的評価を底上げしていくような体制にしたいと思っています。
本学がプロデュースするこれまでと違うタイプのキャンパスにご期待ください。
文学部こそ
学問の王道
実験系に伝統がありますが、現在では臨床系も強くなっています。
なお、個人的には日本で今まで情報科学と心理学、脳科学を融合した認知科学部ができなかったのが非常に不思議ですが、そうした領域をカバーしていける可能性がありますね。
ですが、私は「データサイエンス」というもののさらに先があるのではないかと思っています。そういう意味でも、データサイエンスと認知科学は重要な領域だと思うのです。
本学の商、経済学部もそれを踏まえた上で、数学をどうするのかは引き続き検討するテーマととらえています。
現在、本学入学センターを中心に、塾や予備校の方々から本学へのご意見を聞いています。その上で、今後も塾や予備校の皆さまとの関係性を強めて、引き続き力を入れていきます。
そして、次は「直接の接点」を考えています。場合によっては、学長、副学長などが皆さまのところに伺って、本学への「生の声」を聞かせていただける関係性を築き上げていきたいと思っています。
(2023年7月取材/文責 西田 浩史)