2024.6.26東洋経済新報社主催のイベント『10年後の勝ち組はここだ 「本当に強い大学」の選び方』に弊社取締役の西田が登壇しました。
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医学部コース開設で注目
「通信制高校」最新動向

山田 翔太郎
    鹿島学園高等学校 通信制医学部コース主査
    通信制高校|カシマの通信

    「通信制高校は、全日制が合わない子どもが通う」というイメージは古い。最近は開成、桜蔭など難関中高一貫校からの編入も相次ぎ、東京大学、京都大学や医学部合格も珍しくない。その中で注目されるのは、昨年、通信制の医学部コースを設置した「鹿島学園高等学校」だ。同校事務次長の山田翔太郎氏に話を伺った。

    開成、麻布、武蔵、桜蔭といったいわゆる「御三家」を中退して通信制高校に転入学者もいるようですね<。

    山田なんといっても、通信制高校のメリットといえば、全日制より拘束時間が少ないことです。

    この自由にできる時間が多いことを逆手に、例えば、東京大学や早慶、医学部合格を目指す人には都合がよいようです。こういったことを勘付いて、あえて本校に転入する生徒もいます。

    「通信制の医学部進学コース」を貴校は昨年立ち上げました。

    山田もともと、医学部受験に関して本校への要望、事例が増えていました。

    そんな中でちょうど、医学部予備校の「メルリックス学院」さんと本校の提携がスタートし、今までになかったハイレベルな授業の映像提供を実現しました。

    有名医学部予備校との提携は関係者の間でも話題になりました。

    山田そもそも、本校のような通信制高校は、多様な進路のニーズに答えることが使命でもあります。

    よって、医学部受験の環境を整えるのは自然な選択肢でした。

    医者をやりながらベンチャー起業を立ち上げる面白い進路を歩む人も現れそうです。

    山田はい、ありえます(笑)。もし、そのような進路の希望があれば、本校なら対応可能です。多様な進路を考えたい人は大歓迎です。

    本校の進路指導は、先生と職員が生徒一人ひとりにしっかり「寄り添う」文化です。決して結論を強制したり、答えを求めるやり方はしません。

    ただし、医学部のようなハードルの高い目標を持つ生徒にとっては、ちょっと物足りないという声も出てきました。

    そんな人のために、「徹底的に生徒の相談に乗ってあげられる一番の学校」を目指します。

    例えば、医学部の進路指導関連として、今後、現役医師による「校内セミナー」や、「病院の社会科見学」の実施を構想中です。

    生徒は、最前線で活躍する医師の姿を目の当たりにすることで、医学部合格に向けて勉強のモチベーションが上がるはずです。

    そのためにも、業界で本校が先頭に立って医学部合格実績を作り、通信制課程の魅力を世の中の多くの方に訴求していきます。

    医学部では推薦入試(総合型・学校推薦型選抜)も増えています。

    山田こちらも対応可能です。さまざまな取り組みを、個人別にフレキシブルに検討・対応できるのは、日々の対面指導に縛られない通信制高校ならではの強み、魅力です。

    他にも、きちんと授業を受講すれば、4月から学校に在籍していなくても単位を認定できる制度があります。

    これは、海外からの帰国などでスタートが遅れた生徒さんはもちろん、医学部の推薦入試の出願書類で求められる課外活動に取り組む必要がある人にはメリットです。―なるほど。これは海外大学進学者にも実は通信制高校が良さそうです。

    はい。医学部進学でも海外大学を選択する事例が増えてきました。

    ここで注意しなければならないのは、医学分野でそれぞれ国によって得意な専門領域があること。

    これを追求していくと、将来的に極めたい学問分野を見つけやすくなります。このやり方はオススメです。

    最後に塾関係者にひとこと。

    山田前述したことと矛盾するかもしれませんが、進路指導とは、「必ずしも生徒の希望に寄り添うのが正しいとは限らない」ということです。場合によっては、大人が答えを出してあげることも必要になってきます。生徒の考え方は、きっかけ一つで簡単に変わる年頃です。よって、生徒の希望を常に最優先するのではなく、性格や興味・関心を踏まえて、大人が分析して、将来の可能性を広く捉えてあげることも大切だと思っています。

    ルートマップマガジン社 取締役/雑誌編集局 ルートマップマガジン編集部 編集長
    追手門学院大学客員教授、教育ジャーナリスト、『大学ジャーナル』編集部 編集委員、アロー教育総合研究所 客員研究員。2016年 ダイヤモンド社『週刊ダイヤモンド』記者(学校・教育産業担当)、他学習塾業界誌の私塾界『月刊私塾界』、塾と教育社『月刊塾と教育』記者、追手門学院大学アサーティブ研究センター客員研究員を経て20年から現職。『現代ビジネス』『週刊朝日』『サンデー毎日』『週刊エコノミスト』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』『週刊ダイヤモンド』『ダイヤモンド・オンライン』など教育関連記事の寄稿、コメント多数。全国4,000塾、予備校(関係者20,000人)の取材達成(2022年11月現在)。
    著者に『医学部&医者』『関関同立』『最強の高校』(すべて週刊ダイヤモンド 特集BOOKS ダイヤモンド社)など。放送大学大学院文化科学研究科修士課程在籍中

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