2024.6.26東洋経済新報社主催のイベント『10年後の勝ち組はここだ 「本当に強い大学」の選び方』に弊社取締役の西田が登壇しました。
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学校経営のスペシャリストが語る 「大学経営改善」シリーズ③
「攻めのガバナンス」 が生き残りの鍵

畠山 大志
    はたけやま・ひろし/学校法人のM&A、産学連携、ガバナンスをはじめ、大学・教育分野の法務案件を主に取り扱う。2017年〜2020年⽂部科学省⾼等教育局私学部勤務。学校法人の統廃合や破綻処理に関する法制を検討
    岩田 周
      いわた・いたる/教諭として学校法人にて勤務した後、弁護士登録。教育・学校法人、人事労務、リスクマネジメントなどを主に取り扱う。2020年~2023年⽂部科学省⾼等教育局私学部勤務。改正私立学校法の立案を担当

      令和5年改正の私学法がようやく令和7年4月1日に施行されます。現在、寄附行為の改定作業に追われている学校法人も多いことでしょう。

      なんといっても、改正のポイントは「ガバナンス強化」です。学校法人は、形式を整えるだけの改定作業にとどまることなく、各法人の独自の建学の精神や沿革、経営環境等を踏まえ、自らに合った最適なガバナンス体制を構築していくことが求められます。

      そのためには、ガバナンスの本質に立ち返った議論が不可欠だといえます。

      そもそも、「ガバナンス」とは、経営トップを監督し、組織の持続的な発展に向けてパフォーマンスを発揮させる仕組みです。優れた経営トップを選出し、パフォーマンスを評価し、成果が上がらなければ、交代させるための仕組みともいえます。具体的には、次の2つの側面があります。

      ①経営トップの不祥事による事業価値の毀損を防ぐための仕組み
      (=守りのガバナンス)
      ②経営トップによる必要な改革やリスクテイクを後押しし、事業価値の向上を促す仕組み
      (=攻めのガバナンス)

      この「攻め」と「守り」は表裏一体であるべきで、どちらも重要です。とりわけ少子化時代を生き抜くためには「攻めのガバナンス」に重点を置くべきでしょう。

      学校法人は、経営トップによる必要な改革やリスクテイクを後押しし、事業価値の向上を促す仕組みを考えなければなりません。

      では、どのように「事業価値の向上」を図るのか。この部分の議論を徹底していくことがポイントになります。

      具体的には、大学が10年後・20年後を見据えて、どのような姿を目指していくべきなのか(経営理念)、そのためにどのような戦略・計画を描くのか(経営戦略・経営計画)、大局的な視点から議論する必要があります。

      18歳人口が急激に減少し、マーケットも縮小する厳しい経営環境の下では、不採算部門からの撤退、学部学科の再編など、現場の軋轢を生むような厳しい経営判断を迫られる場面も想定されます。

      いかに優れた経営トップであっても、このような難しい改革を一人で押し進めることはできないでしょう。必要な改革を後押しする仕組み(攻めのガバナンス)が不可欠なのです。

      具体的には、次のようなプロセスが考えられます。

      ①経営理念・経営戦略・経営計画の策定
      ②①の実現に最もふさわしい人物を経営トップとして選出
      ③経営トップによる①の実行
      ④定期的な進捗確認と経営トップのパフォーマンス評価
      ⑤次期経営トップの育成

      いずれにしても、大学の経営改革は待ったなしの状況にあります。理事長・理事に加え、監督機能を担う評議員も交えて議論を尽くし、最適なガバナンス体制を構築していくのが急務といえます。

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