2025.3.8講談社『週刊現代』2025年3月8日号『「SNS」でゆがむ世界』に弊社取締役の西田がコメント提供しました。
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最新!! SNSの使い方vol.2
SNS広報は、地方の
小規模大学に特におすすめ

橋本 雄大
    ルートマップマガジン社 広報・集客支援局 SNS戦略プロジェクトマネージャー
    はしもと・ゆうた /ルートマップマガジン広報・集客支援局 SNS戦略プロジェクトマネージャー。1983年埼玉県生まれ。2022年にLINEの拡張ツール「Lステップ」の正規代理店、23年に認定コンサルタント(現在、全国で11名)となる。24年、SNS運用のコンサルティングを行う株式会社SINTERASを立ち上げ。目的に応じてさまざまなSNSを組み合わせた導線作りを得意とする。24年から現職
    松井 祐太
      ルートマップマガジン社 広報・集客支援局 SNS動画プロジェクトマネージャー
      まつい・ゆうた /ルートマップマガジン広報・集客支援局 SNS動画プロジェクトマネージャー。2009年同志社大学商学部卒業。株式会社リクルートの広告企画営業を経て、15年に独立。SNS動画のコンサルティングを行う株式会社FourAces代表取締役。これまで5000本以上のSNS動画を作成し、100万回再生以上も数多く達成。24年から現職

      SNS広報を手がけた立命館アジア太平洋大学(APU)でTikTok動画が最大、36万回に達したことがあると松井先生に伺いました。今、SNSを使用する大学の状況はいかがですか。

      橋本あと2、3年もすれば、ホームページのように、「SNSをやって当たり前」の世界になってくるでしょう。

      そもそも、SNSがビジネスにも活用できると気づいている学校関係者はまだ少数です。「早くやったもの勝ち」だといえます。

      松井 下図に、大学のTikTokアカウントで平均再生回数の多いものをまとめました。

      1位は日本大学藝術学部で、なんと、フォロワー数は5000人程度にもかかわらず、平均で50万回という再生数を上げています。これは、学食でいきなり誰かがピアノを弾き始めるとか、絵を描き始めるなど、尖った学生の姿を見せるものが多いのが理由です。

      3位の藍野大学は大阪府の医療系大学ですが、学生自ら「オペのやり方を教えます」といった内容で、実習の様子を学生目線で発信しているのが特徴です。

      よって、大学の学部の種類や学生自体が尖っていると、人気コンテンツになりやすいといえます。前述のAPUの場合、学生の人種の多様性をクローズアップしたコンテンツが伸びました。

      真剣に取り組めば今なら「独り勝ち」も

      以前、学校主導より、学生発信のコンテンツのほうがバズりやすいとおっしゃっていましたね。

      松井 はい。バズっているのは、主に学部や部活単位で発信されているコンテンツです。一方で、大学公式のSNSはまだ少数です。

      ですが、きちんと予算化をして大学がSNSによる広報に取り組めば、今の状況なら独り勝ちできるでしょう。

      例えば地方にある偏差値30台の小規模大学がはやりの情報系の学部を新設する場合、どういう方法がおすすめですか。

      橋本まず、TikTokやInstagramで何かのついでに知ってもらうことから始めるとよいでしょう。この二つはフォロワー数が少なくても投稿が拡散されやすい特徴があります。最初のステップとしてぜひ活用をおすすめします。

      そして、TikTokを通じて大学のことが気になった人は、自分で検索したり、フォローしてくれたりするようになります。そうなれば、オープンキャンパスに申し込むなどの行動も促しやすくなります。

      なお、地元の学生を狙う場合ですが、フォロワー数や再生回数にこだわる必要はありません。ターゲットとなる生徒さんや保護者さんにだけ見てもらえればよいわけで、数百回、数千回程度の再生回数狙いで十分でしょう。

      松井 地方の小規模大学の場合、オープンキャンパスの来場者がそのまま志願者・入学者につながることが多いので、いかにオープンキャンパスに呼び寄せるかが勝負になります。

      橋本まず、イベントに申し込んでもらうためには、LINEを使ってユーザーとコミュニケーションを取ることが必要です。

      現状では、SNSをフォローしてもらったり、LINEに登録してもらったりするだけで満足している大学が多い。これは非常にもったいないことです。

      単なる他のマネはダメ。より重要なことは何か

      松井 前述した日藝など突飛なものやバズることを狙ったコンテンツは、面白いのですが、学内の限られた人材で、継続して作るのは難しい。長続きせずに終わってしまう大学も珍しくありません。

      そもそも、高校生やその保護者が知りたいのは、実は学内のリアルなキャンパスライフなのです。これを見た高校生は、通う自分自身をイメージできるわけです。ですから学生インタビューなどはよく読まれます。逆に、大学からのメッセージは見られません。

      橋本最悪なのは、「○○大学でうまくいっていたからうちでも同じようなコンテンツをやろう」という発想。失敗に終わることが多いでしょう。

      自分の大学の強みを洗い出すことをせず、機械的に他大学のまねをしてしまうからです。これは一見簡単なやり方ですが、いくら頑張っても成果は出せません。

      自分の大学の特色をつきつめ、それを前面に打ち出す。しかもそれを学生の口から語ってもらうのがベストです。

      際立った特色・魅力がなく、キャンパスは駅から遠く、知名度も低いという地方の大学はどうすればいいでしょうか。

      松井 例えばですが、「長い通学時間をこんなふうに楽しんでいます」みたいなことを学生インタビューで拾えるといいかもしれません。いかに学生から大学の魅力につながる面白いコメントを引き出せるかですね。

      橋本TikTokをやっている学生のメイキング動画もリアル感があり面白いと思います。

      AIで作成した架空コンテンツもあり

      新設学部の広報で、学生の声を拾えない場合はどうしたらよいですか。

      橋本例えばAIを使ってアバターで動画を作るのも面白いかもしれません。「AIが紹介していたキャンパスを、オープンキャンパスで実際に体験しよう」という打ち出し方でもいい。SNS戦略からは離れてしまうかもしれませんが、オープンキャンパスの企画も連動して考えるとよいのではないでしょうか。

      松井 大学や学部の特徴がない場合、「仮想敵」を設定して考えるやり方もあります。近隣のライバル大学の強み、弱みを分析すれば、自校の強みを洗い出すことができます。

      いずれにせよ、無名企業でもSNSをうまく使えば一躍有名になれる時代です。大学がそれを利用しない手はありません。学校のブランドイメージから逸脱しない範囲で、とにかく人目につくような面白い動画を作ることです。

      ここで、「面白い」とは、笑いを取るという意味ではなく、再生回数が多い動画を参考にし、同じようなコンセプトで作るという意味です。

      普段から我々専門家は、SNSをウオッチし、バズる傾向があるコンテンツもそうではないコンテンツも両者を分析しているので、お困りであればぜひご相談いただければと思います。

      井上 孟
      ルートマップマガジン社 代表取締役社長/海外大学ジャーナリスト
      大手通信キャリアにてM&A戦略のコンサルティング、『大学ジャーナル』編集部 編集委員。2012 年米国 Hult International Business School で経営学修士(MBA)修了。13年から経営コンサルタント。英国コンサルティングファームの世界最先端のビッグデータ解析手法を日産自動車などへ提供。15年より独立し、現職。現在、Google等のビッグデータを生かしたマーケティング手法を開発を軸に、16年から教育業界のデータ分析を開始。国内外約3000大学ビッグデータ分析を行う。『ダイヤモンド・オンライン』『週刊ダイヤモンド』『現代ビジネス』『週刊朝日』『塾ジャーナル』『週刊東洋経済臨時増刊』『サンデー毎日』などデータ寄稿や情報提供多数。その他、全国の大学や高校にて経営や広報に関するコンサルティングや講演を行う

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