校風も都心らしからぬ「穏やかさ」を兼ね備えていますので、首都圏外にお住いの方にも安心して学んでいだけるはずです。
これは、本学の設立母体であるイエズス会の教育熱心な伝統を受け継いでいます。教員は、学生の担当を分担して受け持ち、進級もきちんとできるように常に気を配っています。
これは、学生数を比較的少人数に絞っているからこそできる本学の強みだと思っています。
海外大と同じレベルでの理工教育を実現
おそらく東大は留学生の方が多く、本学は日本人と留学生が半々くらいになるでしょう。留学生と日本人がバランス良く交ざることで、日本国内でのみ教育を受け、海外経験がない学生にとっても、安心して学び、過ごせる環境をご用意できると思います。
規模も、東大は定員が100人なのに対して、本学は学科なので50人と小規模です。
その分、教員が学生のニーズに応えやすい環境になります。一人一人のサポートを充実させたいと思っています。
新学科は、本学が2012年から設置している「グリーンサイエンス・エンジニアリング」の二つの理工学部英語コースを土台としており、10年以上にわたるノウハウがあります。それをさらに発展・拡充させていきます。
具体的には、データサイエンスやデジタル技術を中心として、電気・機械・生物・化学といった既存の理工学分野との複合的な学びを提供します。この幅広い知識と視野があれば、世界でも活躍できます。
海外の大学と同じレベルでアカデミックなコミュニケーションの実践経験を積むことで、世界中とのネットワークづくりや共同での仕事も容易になります。
世界の「ルールづくり」 ができるリーダーを育てる
これからは、そうならないために、技術の知識が豊富で、英語でのコミュニケーションや交渉の能力があり、さらにリーダーシップもある人材を輩出し、日本の発展に貢献していきたいです。
例えば、ある分野で世界的な賞を受賞するような人材を育てるのは、タイミングや運にも関係してくるのでなかなか難しい。ですが、幅広い知識とリーダーシップを兼ね備えた人材ならば着実に育てることが可能です。
単に英語ができればいいわけではなく、相手や状況を見て、どの言葉でどのように交渉すればよいのかを判断し、説得する力が必要です。
いくら流暢に外国語を話すことができても、中身がなければ国際社会では全然相手に響かない。だから新学科では、そこを徹底して鍛えられるようにします。
さらに、グローバル人材のスキルで重要なのが、リーダーとして「調整する能力」です。
私は、ユネスコチェアの仕事をしており、国際会議にも参加する機会があります。そのような、世界各国のメンバーが一堂に会する会議では、必ず全加盟国の意見を聞き、それを取りまとめるのですが、これは本当に大変な作業です。
なぜなら、政策の違いなども重なり、時には正反対の主張が飛び交うからです。よって、合意事項を決めていくだけでもすごく時間がかかります。
そうした主義主張の激しい場で、自分の意見を積極的に発信し、さらにそれを取りまとめる、というのがこれからのリーダーに求められる役割なのです。
デジタルグリーンテクノロジー学科では、まさにそのような理系人材を育てていきます。
世界45カ国に広がる上智の卒業生ネットワーク
海外だけではなく、外務省など政府系の要職や国際機関で活躍する卒業生も多いですね。ある時期には、ロシアの在外公館の公館長がすべて本学卒業生だったという逸話もあります。
フランスのジャーナリズムの分野で活躍している卒業生もいます。
本学の卒業生は、常に団結するよりも、自分らしい生き方や、自分の役割を信念を持って果たしていく方が多い印象です。本学のキャリアセミナーにご登壇いただくときも、ご自身の成果をぐいぐい語るよりも淡々と説明されています。
かといって、互いに無関心なわけではなく、何かあったときの結束力が強いのも特徴です。影で誰かのために働く卒業生も多いですね。For Others, With Others といって、「他者のために、他者とともに」というのが本学の教育精神ですが、その考え方が皆の心に根付いているのだと思います。
そうした生き方に惹かれた後輩が、先輩と同じような道を進む、というサイクルができています。
デジタルグリーンテクノロジー学科では、世界各国からの留学生とともに英語で学ぶことができます。その経験を生かし、将来は世界中の学術界とネットワークをつくって活躍してもらうことまで視野に入れています。(談)
(2025年5月取材)