2025.7.22新潮社「デイリー新潮」に弊社取締役の西田が寄稿しました
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塾経営の㊙情報vol.11
”中小塾"の価格決定戦略

学習塾の倒産件数が2024年に続いて25年も過去最多を更新しそうだ。帝国データバンクの調査によれば、負債1000万円以上を抱えた法的整理による倒産件数は25年1〜9月で37件。負債別に見ると、1億円未満の小規模倒産が35件と多数を占め、好景気と言われる中でも中小塾の経営の厳しさが浮き彫りになった。

今回は、塾の利益確保に直結する「価格設定」の話をしたい。これまで100人以上の塾経営者と面談し、筆者が分かったことは、「価格設定の重要性」を分かっていない塾がほとんどだという実態だ。

とりわけ、予備校から独立した元・講師が経営する塾では、予備校での授業単価をそのまま使うケースが多い。だが、そこから授業単価を上げ、講師代を下げなければ、破綻する可能性が高くなる。

ここで典型的な失敗例をご紹介しよう。

まず、塾立ち上げ時は手元に十分なお金がないので、ほとんどの経営者は、知り合いの講師になんとか安い講師代で協力してもらうことになる。その代わりに、生徒がたくさん入ったら講師代を上げることを約束する。

だが、ここが問題だ。生徒をいくら増やしても、講師に払うお金が増えるばかりで利益率が上がらないからだ。よって、講師代をあげられないまま時間が経ち、数年後には、講師に愛想を尽かされ、辞められてしまうことになる。こうした事態は、極端ではなく、実は増えつつある。そうならいためにも、最も重要なポイントを2つお伝えしよう。

中小塾の安定化に必須のポイント2つ

まず、なんとしても「授業単価」を上げること。

この話をすると、大抵の経営者は「お客さんがこなくなるのではないか」と急に弱気になってしまう。だがそれではいつまでたっても講師の給料を上げられず、よい人材が定着しない。勇気を持って挑みたいところだ。

保護者に納得してもらいやすい価格アップ方法とは、講師にグレードをつけることだ。学生、一般、プロ、カリスマ、というように講師にランクをつけ、授業料に差をつけるのだ。講師代は、授業料の1/3程度が目安だろう。これで、講師の質に応じた授業料と講師代を確保することができ、皆満足できるはずだ。

そのためには、講師のブランディングも欠かせない。担当した生徒の合格実績を中心に、面倒見の良さ、書籍出版実績、SNSでの知名度などをホームページや配布資料でPRしよう。これは、大手塾の名門会のやり方が参考になる。

なお、PRは一度だけでは効果がない。しつこく繰り返し、イメージを定着させる必要がある。相手がもう分かっているはずだと感じても、PRし続けないと効果は薄い。

2つ目は、授業形態の検討だ。現在のトレンドは「個別指導形態」だ。中小塾であれば、個別指導での手厚いサポートを売りにしている塾も多いだろう。

一方で、利益率が高いのは集団授業だ。これは、講師代が一人分しかかからないので、生徒数を増やせば増やすほど利益も増やせる仕組みだが、個別指導ではそうはいかない。

そこで、個別形態を維持しながら、いかに集団授業の利益形態に近づけていけるかがポイントになりそうだ。

例えば、大手塾には一対二の指導で「ほぼ個別」指導にしているところもあれば、10人ほどの生徒の間を一人の講師が順番に回りながら個別に面倒を見るような「なんちゃって個別」指導をしているところもある。

この手を使おう。個別指導の単価を維持しつつ、なるべく集団授業の利益率に近づける。そうすることで、あなたの塾経営はぐっと安定するはずだ。

伊藤隆一
学校・医学部予備校経営コンサルタント
横浜市生まれ。大学卒業後、株式会社ハイメックス(教材メーカー)、旅館・ホテル業界コンサル会社、教材販売、家庭教師センター、学習塾経営を経て現職。学校・塾・予備校の広報を強みとして、複数の都内私立中高一貫校の顧問、広報アドバイザーも勤める。東海大学教養学部生活経済学科卒業
2025 10/1
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