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大手塾の参入で医学部予備校業界再編が加速

全国で100校以上存在するといわれる医学部予備校。その勢力図は、コロナ禍で激変した。かつてのような、「講師が独立すれば、経営の知識がなくてもなんとかなる」時代は終わった。その背景には、相次ぐ大手塾の参入や、集客競争の激化がある。そこで今回、医学部予備校の立ち位置を示すとともに、その生き残りの方程式を探った。

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単値が高い医学部予備校では、生徒一人で年間1,000万円以上の収益を上げることも可能だ。小さな予備校でさえも、簡単に売上を1〜2億円にできる高単価ビジネスといえる。

一発逆転を狙った講師が独立し、多くの予備校が乱立状態た。事実、医学部予備校ビジネスで大成功を収めた元講師も多い。

だが、資本力を武器にする大手塾が次々に参入したことで、大きく勢力図が変わりつつある。

左図を見てほしい。2007年の早稲田アカデミーによる大手老舗塾「野田クルゼ」の買収をはじめ、トライグループや九州最大手の英進館も医学部予備校を買収し、業界内での地位を獲得している。

その英進館の代表、筒井氏は九州大学医学部卒の医師でもあるので、医学部予備校成功にかける想いは相当なものだろう。

さらに、最近では富裕層向け個別指導や家庭教師事業を営むリソー教育グループも医学部予備校に新規参入を果たした。

こうした大手塾は、実績に裏打ちされた計画的な予備校経営を行い、広報にも多額の資金を注ぎ込み、圧倒的な集客を実現している。さらに、他事業で囲い込んだ優秀な生徒をグループ内の医学部予備校に入塾させることも可能だ。

よって、これから素人が医学部予備校経営で勝ち残るのはかなり難しいだろう。

経営で注目は成増塾・滝原塾

では、これからは大手以外は生き残れないのか。実はそうでもない。資本力がなくても、勝負に勝つことは可能だ。そのための秘訣を紹介しよう。

まず、ポイントは塾名だ。医学部志望層は、「◯◯塾」といった、医学部に特化しているのかはっきりさせないところは敬遠される傾向にある。よって、質の高い講師や授業で勝負する成増塾や滝原塾は、名前を変えることで大きく成長する可能性がある。例えば、老舗のビッグバンから独立した「医学部特訓塾」は、「特訓」というコンセプトがヒットして成功した。

次に、単価の最適化だ。経営素人の場合、値付けを適当に行いがちだが、これはやめたほうがよい。近隣の競合塾や、地元地域の所得レベル、そして目標売上を踏まえて決めるべきだろう。

なお、講師の獲得も最近は難しくなっている。独立する前に時間をかけて講師ネットワークを作り、予備校立ち上げと同時に優秀な講師を囲い込めるようにしておきたい。近年は特に講師の高齢化が進んでいる。講師獲得は資本力の大小に関わらず医学部予備校成功の鍵となるはずだ。

地域の選定も重要だ。例えば、東京・渋谷エリアでは、代官山メディカル、メルリックス学院、Windomが3つ巴の争いを演じている一方で、お隣の東京・恵比寿エリアでは一会塾メディカルが一人勝ちしている。ライバルが少なく、ある程度単価の高い客を見込めるエリアを攻めるのが成功につながるだろう。

最後に、もっとも重要なのは、集客戦略だ。これまで大手塾はメールアドレスのリストをもとに集客するのが基本だった。だが最近は、YouTubeやインスタグラムからのLINE登録など、SNSを使った営業が主流になりつつある。SNSであれば、資本力に関係なくファンの獲得が可能だ。詳しくは過去の『ルートマップマガジン』1〜3号にて紹介しているのでぜひ参考にしてほしい

伊藤隆一
学校・医学部予備校経営コンサルタント
横浜市生まれ。大学卒業後、株式会社ハイメックス(教材メーカー)、旅館・ホテル業界コンサル会社、教材販売、家庭教師センター、学習塾経営を経て現職。学校・塾・予備校の広報を強みとして、複数の都内私立中高一貫校の顧問、広報アドバイザーも勤める。東海大学教養学部生活経済学科卒業
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