本誌 編集長/西田 浩史
慶義義塾大学やMARCHをはじめ、難関大学の総合型選抜では、志望理由書や小論文の完成度が合否を大きく左右する。
一般選抜のように学力試験の点数だけで評価される入試とは異なり、総合型選抜では文章、面接、活動実績などが総合的に評価される大学が多い。
その中でも、受験指導の現場で強く指摘されているのが「添削の質」である。
そもそも志望理由書や小論文は、多くの受験生が最初から高い完成度で書けるものではない。自分の興味関心や将来の目標を書き出すところから始まり、それを大学の教育内容や研究テーマと結びつけながら、文章の構成を整えていく必要がある。その過程で欠かせないのが、「添削」によるブラッシュアップである。添削を受けて書き直し、さらに再添削を受けるという工程を繰り返しながら、文章を磨き上げていく。
合格した受験生の中には、志望理由書を十回以上書き直しているケースも珍しくない。
合否を分けるのは「添削の質」
しかし、ここで”大きな差”が生まれることはあまり知られていない。総合型選抜では添削そのものが重要であるだけでなく、「誰が添削したのか」という点が合否に影響することがあるからだ。

受験指導の現場では志望理由書の添削は広く行われているが、添削者の経歴や専門性が明確に示されているケースはほとんどない。だが、文章の構成や論理の組み立て方は、指導者の経験によって大きく変わることを多くの塾関係者は指摘する。
例えば、小論文や志望理由書の指導で知られる中塚光之介氏は、長年にわたり河合塾で小論文指導を行い、多くの受験生の文章を添削してきた。現在は大学教員として教育に携わりながら、かんき出版の小論文講座でも指導を行っている。こうした経験・実力がはっきり分かる講座が良いだろう。ちなみに、この講座では単に文章を直すだけではなく、論理の流れや主張の構造まで踏み込んで修正が行われる。
総合型選抜では、志望理由書、小論文、面接が互いに関連しながら評価される。志望理由書に書いた内容は面接で深く問われることが多く、小論文のテーマとも結びつく。そのため、文章の主張が一貫しているかどうか、論理的に説明できるかどうかが重要になってくる。添削は単なる文章修正ではないのだ。受験生の思考を整理し、伝える力を高めるプロセスでもある。
総合型選抜は「出願準備」で差がつく
一方、総合型選抜は文章だけで合否が決まる入試ではない。出願までの準備にも一定の流れがある。筆者は全国の学習塾への調査をもとに、そのプロセスを「合格ルートマップ」として整理した。
ページ上図を見ていただきたい。総合型選抜では、まず志望校を決めることから準備が始まる。
これは、大学ごとに求める人物像や出願書類の内容が大きく異なるため、志望校が決まらないと具体的な準備を進められないからだ。多くの塾では、本命校、併願校、安全校といった形で複数校を設定し、早い段階から出願戦略を立てることを勧めている。
志望校が決まると、次に志望理由書の作成が始まる。大学のオープンキャンパスや説明会に参加し、教育内容や研究テーマを理解しながら、自分の興味関心と結びつけていこう。大学によっては小論文や課題レポートなどが課されるため、過去の出題内容を分析しながら準備を進めることも重要になってくる。
さらに出願の段階では、活動報告書や自己PR書、推薦書など複数の書類を準備する必要がある。
志望理由書で書いたテーマと活動実績が結びついているのか、大学での学びと将来の目標が論理的につながっているのかなど、書類全体の一貫性が問われる。
全国の塾への取材を通じて見えてきたのは、総合型選抜で合格する生徒ほど、早い段階から計画的に準備を進めているということだった。そして、その過程で大きな差がつくのが、志望理由書や小論文の完成度である。
つまり総合型選抜では、どれだけ早く準備を始めるかだけでなく、「誰に添削してもらうのか」という点も重要になる。志望理由書や小論文は単なる文章ではなく、自分の学びたいテーマや将来像を伝える重要なツールである。
経験豊富な指導者による添削を通じて文章を磨き上げていくことが、総合型選抜を突破するための大きなポイントになると言えるだろう。

<図版は会員限定コンテンツです>閲覧するには