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著書累計販売部数24万部の著者が教える
塾の先生のための書籍出版講座Vol.8

実は、2026年7月に新刊を出版することになりました。

この本の企画が動き始めたのは24年末です。当初は25年3月ごろの脱稿を予定していました。

しかし、以前に書いた内容と似ている部分が多く、「新しい価値を出せるのか」と悩み、執筆がなかなか進みませんでした。

そこで編集者と相談し、これまでの内容をベースに再構成する方針にし、25年9月末には脱稿に至ることができました。

ただ、そこからさらに出版時期が遅れた理由は、初校の段階でも大幅な加筆修正を行ったためです。編集者の協力のおかげで、納得のいく内容に仕上げることができました。

この経験を通じて感じたのは、本作りは著者と編集者の共同作業だということです。

さて、読者から「編集者が出版したいと思うような企画書の作り方」について質問を受けましたので、今回は私なりの考えをお伝えします。

まず知っておきたいのは、最初の1冊は著者が企画書を持ち込むよりも、出版社の編集者から企画の話が来るケースが少なくないということです。

特に学習参考書では、編集者が企画を考えた上で、執筆候補者へ声をかけます。ただし、この段階では出版はまだ決まっていません。編集者は企画会議に企画書とサンプル原稿を提出するため、執筆候補者には1〜2節程度の執筆が依頼されます。

この段階で企画会議に通らなければ出版できません。もちろん執筆料も発生しない場合がほとんどです。

だからこそ重要なのは、編集者が思い描く本の方向性と、執筆者が書きたい内容を一致させることです。

企画書は1人では作れない

例えば編集者は「高校生向けの入門書」を考えているのに、執筆者が「大学レベルの専門書」を書きたいと思っていたら、本はうまく成立しません。

企画会議やその後の執筆期間を乗り切るためにも、初めにお互いのイメージを十分にすり合わせておく必要があります。

サンプル原稿を書く際に意識したいのが「型」です。最初の段階で構成や見せ方の型を作っておくのです。

特に学習参考書は全範囲を書き切らなければなりません。途中で構成が変わると読者も執筆者も混乱します。だからこそ最初に型を決めることが重要ですし、執筆者自身も書き進めやすくなります。

「型」の例
・見開き2ページで内容を解説する
・次の見開き2ページで問題演習を行う
・確認問題は穴埋め形式にする
・演習問題はレベル別にする

では、編集者が魅力を感じる企画はどのように生まれるのでしょうか。

私のおすすめは、とにかく書店へ足を運ぶことです。自分の専門分野だけでなく、他科目や他ジャンルの本も観察してみてください。私は新刊が出ると、まずタイトルと目次を確認します。編集者や著者の「売り」が最も表れる部分だからです。

なぜこのタイトルなのか。なぜこの章立てなのか。なぜ平積みされているのか。売れている本の理由を考えることが企画力を磨く近道です。

私自身、他科目の参考書から学ぶことは多いと感じています。同じ科目しか見ないと、どうしても発想が似てしまうからです。

編集者が求めているのは、単なる知識量ではありません。読者の悩みや疑問を理解し、解決できる形に整理できる人です。企画書作りの出発点は、自分が書きたいことではなく、読者が読みたいことを考えることなのです。

さて、企画書が通っても、本作りはまだスタート地点に過ぎません。本当に大変なのは、その後の執筆作業です。学習参考書であれば10万字を超えることも珍しくなく、多くの執筆者がここで挫折します。

では、どうすれば1冊分の原稿を書き切ることができるのでしょうか。実際に私が経験した苦労や失敗談も交えながら、「1冊レベルの文章を書き続けるコツ」についてもどこかでお話ししたいと思います。

西村能一
大学受験予備校講師/教育ジャーナリスト
横浜生まれの横浜育ち。「ノーイチ先生」の愛称で親しまれる。横浜DeNAベイスターズとマラソンをこよなく愛する二女の父親。7年間の私立高校教諭勤務を経て、現職。受講生から「ノーイチ先生」の相性で親しまれている。化学現象が楽しく理解できる解説と生徒が復習しやすい板書が定評。受講生から「化学が好きになった♪」といわれることを生きがいに、授業や執筆を精力的にこなす多忙な日々を送っている。教材や模試の作成・編集にも携わり、学校の先生向けに授業のアドバイス、保護者や子供向けに進学アドバイスや講演も多数。これまでに指導した生徒数は50,000人にのぼる。著書は、学習参考書『改訂版化学早わかり一問一答』『改訂版化学基礎早わかり一問一答』を代表作に、『大学入試 化学反応のしくみが面白いほどわかる本』『直前30日で9割とれる 西村能一の共通テスト化学基礎』(以上KADOKAWA)、共著書として、『ここで差がつく 有機化合物の構造決定問題の要点・演習』(KADOKAWA)、『化学頻出!スタンダード問題230選』(駿台文庫)がある。近年は、一般書執筆に力を入れ、著書『科学の名著50冊が1冊でざっと学べる』(KADOKAWA)は、一般の人に向けて「科学好き」を増やすべく執筆。科学関連の発信や講演、さらに、子育てや教育に関する講演も積極的に行っている。明治大学理工学部工業化学科卒業
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