第二次ベビーブーム世代の筆者は、「受験戦争」と「就職氷河期」世代でもあります。この世代の大学選びといえば、とにかく就職に有利な高偏差値の大学を目指し、自分のやりたいことは二の次でした。
私はそんな後悔をしている多くの人を見てきた背景から、私立高校教員になった後は、「大学で勉強したいことを考えて進路を選べ」という方針にしてきました。
ただ、現実はそう簡単ではありません。
理系の受験生であれば、受験機会が少なく、学部学科を真剣に選びますし、勉強したい内容もある程度明確です。
一方、文系の受験生は、志望大学であれば学部はどこでも良いというケースが少なくありません。
そもそもやりたいことのイメージが無いので、大学も学部学科も選びようがないわけです。
近年、有名大学には無事に入れても、学びの内容や大学の雰囲気とのミスマッチが起こり、退学する学生が目立ってきているように感じます。
だからこそ、大人が積極的にアドバイスを行い、進学のミスマッチをなくすことが重要ではないでしょうか。
例えば私の場合、化学講師として担当する授業の中で、自分の経験や教え子の進路の話すようにしています。すると、生徒は自ら私に色々と質問や相談をしてきます。中には、「先生の話が進路の参考になった」と、大学入学や卒業後も私に会いに来てくれる子もいます。
私は、過去20年で5万人以上の生徒の面倒を見てきましたが、この中で多種多様な進学・進路に関わってきました。
本連載では、私の経験やデータ分析を通じて、若い人たちの道標となるような話をしていきます。
どのような道をたどれば生徒がやりたい仕事ができるのか。行動だけではなく、紆余曲折を経て成功した例も紹介していきます。
これを読んでくださる先生方を通じて、一人でも多くの生徒の「人生の選択」をより良いものにしていければと願っています。