教育業界に身を置く人間なら誰もが知る、学習塾大手の「リソー教育グループ」。
「TOMAS」や「名門会」を軸に、小学校から大学受験まで、さらには英会話指導なども広く手掛ける同社が今、医学部受験業界の話題をさらっている。
それは、2022年3月からスタートした同グループの新ブランドである、医学部受験専門個別指導塾 の「MEDIC名門会」だ。
そもそも個別指導という形式が塾生への細やかな指導をかなえるのは当然だが、実は学習指導以外の場面でもメリットをは多い。
特筆すべき取り組みの一つは、「塾生の性格を踏まえたカウンセリングによる、総合力の向上」であるとMEDIC名門会の責任者でもあり、西日本の教務責任者であるブロック長の曽根加奈子氏は力説する。
この総合力とは、単純な学力だけでなく、試験でも平静なメンタルを保ち、実力通りの得点を獲得できる得点力を含んでいる。
そこで、名門会では「講師と教務担当者が、塾生に合わせた合格までのマネジメントを図っている」(MEDIC名門会大阪本部校 校長の岩井健一氏)という。
さらに、MEDIC名門会では、講師に加えて、勉強実行支援を行う「カリキュラムサポーター(CS)」、問題演習支援を行う「ティーチングアシスタント(TA)」、生活環境管理を行う「コンシェルジュ」など複数の担当がつき、多角的な支援を行うことを特徴としている。
なかでも、特に重要な存在はTAだ。
40〜50代を中心とする講師に対して、TAは現役医大生が受け持つ。塾生にとって身近で頼れる存在であり、憧れでもある。TAには名門会卒塾生も在籍する。
その一人、京都の名門、洛南高等学校の出身で、現在は京都大学医学部医学科3回生の池田直樹氏は、「塾生に寄り添いながら、勉強面に加え、生活面や精神面をフォローする役割を担っている」と話す。
見過ごされがちだが、長期間にわたる受験対策において、意欲の維持は簡単ではない。
岩井氏によれば、そこでCS、TA、講師などが協力し、塾生に自分の性格を自覚させながら、受験に向けた精神面の指導や、個々の適性に応じた受験戦略を組み立てていくのである。
卒業後までを見据え尖る名門会の理念
一方で、講師陣は、プロ集団と呼ぶにふさわしい存在感である。
医学部受験では教科に偏りのないバランスの取れた学力伸長が肝心だ。そのために、講師陣が一人ひとりの情報を共有しながら、連携してそれぞれの生徒に最適化した指導を行っている。
また、駿台予備学校との資本業務提携を生かして、大学が公表しない「個別試験での合格ライン」の予測を立てていることも特筆しておく。
このように、役割分担と綿密な情報連携により、塾生を多角的に支え、鍛える姿勢は名門会ならではといえよう。
さらにその先には、医学部進学後の将来を見据えていると、曽根氏は語る。
「他者に寄り添える医者になるには、自分自身が他者に寄り添ってもらった経験を持っていることが大切」。これは関係者の言葉だが、名門会では医学部合格だけでなく、塾生がより良い医者になることを、教育の目標として据えている。
当然ながら、名門会が医学部合格のための戦略や、これまで培ってきた教育ノウハウを強みにしていることは間違いない。
しかし名門会の根幹として共有されるこのビジョンこそが、急成長する合格実績の背景にあることを忘れてはならない。
受験に挑む塾生だけでなく、塾生を支える関係者の原動力となるのもまた、組織が掲げるビジョンの重要性である。