久しぶりに、東京国立にある谷保天満宮に詣でた。このお社は菅原道真公を祀る、たいへん格式のあるお社で、関東三天神(あとの二社は湯島天神社と亀戸天神社)のひとつに上げられている。一年中多くの受験生が願掛けに訪れる。因みに、鎮守の森にある梅林も有名で、「金棒、拍子木、笛が鳴り、万燈を先頭にした獅子舞の道行が近づいてくる。体が浮かぶ心地がする」という美しいことばで綴る、作家山口瞳(国立の住人)の碑も立つ。参拝の受験生の顔をのぞき見ると、皆思いつめたような表情だ。「頑張れ」と心の中で激励する。
正月明け早々、東京足立区で開催された塾長の勉強会に、オブザーバーとして参加した。主催者がその場で話題にしたのは、たいへんきびしい塾の将来展望だった。数年後マーケットは極端に縮小。残るのは全国規模の大手塾のみ。地もとの小・中学生を対象に経営する多くの小規模塾は、閉塾、撤退するしかなく、よっぽど専門化するなどして特色を出さないと、存続は極めて難しい―と。
その最大要因である人口減、少子化とともに、この状況においうちをかけるのが、家庭の経済状況による「教育格差」ではないか。少し古いが、ベネッセ教育総合研究所の保護者アンケート(13年)によると、年収400万未満の世帯で塾などに払える金額は、月8500円、年収800万円以上で26600円、つまりその差は3倍。当然年収の高い家庭ほど塾への支出が可能というわけだ。親の経済力と子どもの通塾率は相関関係にある。そして現実のところ、高額所得家庭は地もとの小規模塾より受験のノウハウをもつ全国規模の大手塾を選ぶ。小規模塾は、ではどうするか。
ヒントは小学低学年向けに特化した専門塾だ。昨年末こども家庭庁と文科省は、共働きやひとり親家庭の小学生を預る、放課後児童クラブの待機児童の解消に向けた対応策をまとめた。25年5月時点で学童クラブを利用する児童数は158万余人。ピークが予想される30年ごろまでに165万人分の受け皿の整備をめざすという(毎日新聞25年12月24日)。
対象を小学低学年にしぼり込む。地域の塾はここに注目すべきではないか。親の就労に関係なく、小学低学年の居場所づくりに特化する。カリキュラムはベテラン塾長ならお手のものだ。貴塾らしいメニューがつくれる。「低学年向け専門塾」。そこに大きな可能性が見える。
