すべての原稿を書き終え、とうとう脱稿を迎えます。これで、執筆作業に苦しんだ日々ともおさらばとなります。何といっても、断っていたビールが、とてもおいしく感じる時です。
そんな時もつかの間、次は校正作業が待っています。
これは、デザインやイラスト、ページ番号などが入った「出版用のレイアウト」に、作成した原稿を入れて、校正刷り(ゲラ刷り、ゲラ)を作ります。この時点では、レイアウトはバラバラです。
特に学習参考書の場合、見開きごとに、一つのテーマを収めることが多いので、ページ内の文章が溢れていたり、不足していたりします。
そこで、送られてきたゲラに、加筆や修正をして調整するのが、校正という作業です。昔は紙に直接、赤ペンで書き込んでいましたが、今はoPadの『Goodnotes』というアプリを使って、PDFに書き込んでしまいます。
そんな校正は、初校→再校→念校という順番で続いていきます。
再校では、初校で修正した部分を見直します。この時点で、だいぶ完成形が見えてくるでしょう。
注意しなければならないのは、念校では大きな修正はできません。細かな修正をするだけです。この間に、出版社の校閲担当からの指摘箇所を修正することもあります。
さらに念校の後に、念々校のチェックが入ることもあります。私はできるだけ誤植を減らしたいので、最後まで諦めずに原稿をチェックします。
そして、いよいよ苦労した校正作業も終了して、印刷会社に最終データが送られます。
もちろん、印刷会社に渡れば修正できませんが、その後の修正は、増刷時に可能です。今年の新課程で化学の「熱」の分野が変わったことを受け、私の書籍でも、二版で大きく修正を加えました。
いよいよ迎える書籍出版の瞬間
ところで、本のページ数が、8または16の倍数になっていることが多いのをご存じですか。
本を大量に印刷する時には、オフセット印刷という技術が多く用いられるからです。オフセット印刷は、8または16ページ単位で印刷するので、本のページ数もそうなることが多いというわけです。ぜひ、手元の書籍のページ数を確認してみてください。
この印刷された書籍は、出版取次を経由して、各書店へ配布されます。ここまでで、印刷会社にデータを送ってから、発売まで約1ヵ月です。この間にアマゾンなどでも、出版予定の本として告知されます。
そして待望の発売日を迎えます。
発売後は、アマゾンに書かれたレビューや売上ランキングなど、何かと気にする日々が続きます。
あわよくば、重版(増刷)の決定を、首を長くして待つことになります。重版がかかる時には、編集者から「重版しました。第2刷、〇〇部です。訂正があれば連絡ください。」という連絡が届きます。
このメールが届いた時が、何よりも嬉しい瞬間なのです!