これからの学習塾・予備校は、総合型選抜をどのように指導していくべきなのか。2025年6月27日、ルートマップマガジンでは、年内入試に特化した研究会『総合型選抜エキスポ2025』を開催した。会場は桜美林大学新宿キャンパス。個別指導塾pispis、総合型選抜専門塾のAOI、EQAOの各代表者が登壇し、指導のポイントをめぐり、議論を交わした。
トークセッションでは、AOI代表の小澤忠氏が、受験生本人の「言葉」で綴られた志望理由書の必要性を提言。また、EQAO代表の玉村ナオ氏が、志望理由書の作成指導をする過程で、次第に「志望」が変化し、受験生自身が気づいていなかった「志望」に辿り着いた事例などを紹介した。総合型選抜の受験では、志望理由書の内容や完成度もさることながら、「自分はなにを志望し、なぜ志望するのか」を極限まで明らかにすること、志望理由書作成の前段階に注力すべきと言えそうだ。
さらに、pispis事業責任者の梶原脩氏は、受験生の実力以上の大学に合格する「入試の下剋上」について、一般選抜では実現困難な大幅な下剋上が起きる総合型選抜の特徴などを考察。一方、桜美林大学入学部・部長の高原幸治氏は、志望理由書や面接試験における評価基準など大学サイドの重視ポイントを解説し、総合型選抜に関する理解をさらに深めた。
無料で高校生が探究や総合型選抜対策を行うチャンス
志望理由書の作成指導において、受験生の「言葉」をどのように引き出したら良いのか。「言葉」として育っていく「タネ」を与えるのが、桜美林大学が主催する探究体験型のプログラム「ディスカバ!」。だ。(左下にリンクを掲載)「ディズニー」「ジェンダー」「エアライン」「吹奏楽」あるいは「子どもの貧困探究」など、多種多様なプログラムを展開し、中高生に実体験の機会を提供している。
特別講演では、「ディスカバ!」コーディネーターの今村亮氏が登壇し、このプログラムの世界観をプレゼンテーション。ルートマップマガジンの西田浩史編集長が、これに応じ、ディスカバ!プログラムを活用する総合型選抜受験カレンダーを提案した。
締めくくりには、グループに分かれ受験指導の「研究会」を開催。さまざまな学習塾・予備校の講師や指導担当者が集まり、総合型選抜の攻略法を探った。加えて、前出の今村氏がファシリテーションし、「ミニディスカバ!」を実施。ワークショップ形式で、ディスカバ!のエッセンスに触れた。
大学受験の「年内入試シフト」はますます加速し、総合型選抜の受験生も増加の一途と見られる。一般選抜の受験指導を得意としてきた学習塾・予備校も、総合型選抜の指導体制の確立が急務となっている。さまざまな角度から総合型選抜にアプローチする今回のエキスポは、来場した方々の教室運営にヒントを与えたはずだ。