2024.6.26東洋経済新報社主催のイベント『10年後の勝ち組はここだ 「本当に強い大学」の選び方』に弊社取締役の西田が登壇しました。
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学校経営のスペシャリストが語る 「大学経営改善」シリーズ③
「攻めのガバナンス」 が生き残りの鍵

令和5年度現在、全国の大学で定員不足が増えている。これにより、特に中小規模の大学の約3割が事業活動収支赤字となった。

問題はそれだけではない。財務状況の悪化で、募集停止や廃校の判断を迫られる大学も増えている。よって、各大学はこれまでの本連載で紹介した改革に取り組んでいく必要があるだろう。

進学先として大学を選ぶ立場にある学生・保護者・進路指導者の皆様においても、これは他人事ではない。今後の大学選びにおいては、偏差値、就職実績、カリキュラムだけでなく、財務状況も注視する必要がある。なぜなら、せっかく進学した大学が在学中に廃止になる可能性もあるからだ。

そこで今回は、私立学校の財務コンサルティングを10年以上行ってきた筆者の経験から、大学選びのポイントを3つご紹介したい。

まず、赤字が続いている大学は注視すること。これは、各大学のホームページから確認可能だ。

まず、ウェブで、「大学名+財務諸表」と検索し、財務諸表の中で「事業活動収支計算書」を確認しよう。計算書の一番下には、収支の差額が記載されているはずだ。これで赤字かどうかがわかる。

過去3年分の収支を確認し、赤字が続いているようであれば、経営に何らかの課題・問題を抱えている可能性が高い。近いうちに閉校する可能性も否定できない。

次に、十分な資金力を有しているかどうかも大切だ。こちらは、各大学の財務諸表のうち、「貸借対照表」を見る必要がある。ここの「資産科目」にある「現預金」が、「負債科目」にある「前受金」の金額より多いかどうかを確認したい。

「前受金」とは、翌年度の授業料として徴収した金額だ。「現預金」が「前受金」より少ない場合、その大学は、翌年度の授業料をすでに食いつぶしているということになる。よって、翌年度の資金繰りに懸念が生じる。

最後に、「定員充足率」だ。

大学は、定員規模に応じて、文部科学省が定めた教職員数や施設を保有する必要がある。定員充足率が低いと、これらの費用負担が重くなり、財務状況が悪化する。

健全な経営を行うならば、定員充足率は最低でも90%以上を確保したいところだ。

一方で、定員充足率が80%未満の大学は要注意だ、文部科学省から大学への修学支援金も打ち切られるため、財務状況がますます悪化する。

ちなみに、この支援金をもらう目的で定員を縮小し、定員充足率を引き上げる大学もある。だが、定員を縮小したところで教職員数や施設の維持管理費用を削減するのは簡単ではないため、財務状況が悪いことに変わりはない。

よって、定員が減っていないかどうかも合わせてチェックすることをおすすめする。

つもり・けんいち/15年以上にわたり、学校法人、社会福祉法人、医療法人、株式会社など多種多様な法人を支援。内容は、事業再生・成長戦略策定、事業計画策定や校舎・園舎等の施設建替え計画策定、認定こども園移行支援、学校・保育所新設支援、M&Aなど、多岐にわたる。学校法人へは、現状分析、経営課題の洗出し(学生募集動向の分析、コスト構造の分析、学部・学科別収支の算出、学生・父兄・職員アンケート分析など)、中期事業計画策定、資金調達計画策定、経営権移譲のサポートなどのサービスを提供している
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