印税とは、出版決定後にトラブルになりやすい点です。今回は、印税の仕組みについてお伝えします。
まず、「印税」とは、執筆者(著作権者)が、著作権使用料として出版者から受けとるお金のことです。定価や本の発行部数などに応じて歩合制で決まります。この歩合(印税率)が何%になるのか、気になる方も多いでしょう。
印税率は、5~10%が相場ですが、出版社や執筆者によって微妙に異なります。共同執筆の場合、印税を執筆者同士で按分することが一般的です。
この印税率は、”執筆後“に出版社から送られてくる契約書で通知されることがほとんどです。出版が決まる段階では、編集者から執筆の正式な依頼が来ますが、そこでは、執筆内容とおおよその締切日しか伝えられません。
よって、初めての出版では、契約内容や印税などを聞かずに執筆するのが現状です。執筆後に印税率が低い事がわかり、著者と出版社の間でトラブルになることも少なくありません。
個人的には、処女作は印税率に関係なくとにかく出版した方がよいと思っています。まず出版実績を作ることで、2冊目以降も出版しやすくなるのが理由です。さらに、出版した本の売れ行きがよければ、印税率の交渉もしやすくなるでしょう。
2冊目を同じ出版社から出す場合は、印税率はほぼ同じになることが多いでしょう。一方で、違う出版社から出す場合は、執筆依頼を受ける段階で印税率を確認します。私自身、印税率に納得できなければ、企画前の段階で断ることもあります。
少し話がずれますが、執筆中に、出版社から「企画が変わったから出版できなくなった」といわれることもあります。この場合、残念ながら印税や報酬はありません。執筆を始めるときは気をつけて下さい。
さらに、印税率の他に2つ重要な点があります。「発行部数」と「実売部数」に基づく2つの印税の計算方法の違いです。
「発行部数」の場合、本の発行部数がそのまま印税の計算に使われます。一方、「実売部数」では、書店などで実際に売れた部数を計算に使います。書店から返本されたものや、献本として学校などへ配られるものは実売部数に含まれないので、印税は少なくなります。
よって、実売部数による印税の場合は支払い日も遅くなります。
「発行部数」による印税の場合、初版の印税は発行日の翌日末、増刷時は増刷発行部数を設定した翌日となります。
それに対し、「実売部数」による印税の場合、初版発行日の5か月後の末日と、それ以降は6か月ごとに実売数に応じて支払われます。増刷しても印税が急に増えないなどのデメリットもあります。
ただし、学習参考書は「実売部数」の契約が多いようなので、印税の交渉の際は、そうした一般的な慣習も踏まえつつ行ないましょう。