2024.6.26東洋経済新報社主催のイベント『10年後の勝ち組はここだ 「本当に強い大学」の選び方』に弊社取締役の西田が登壇しました。
MENU

著書累計販売部数24万部の著者が教える
塾の先生のための書籍出版講座Vol.4

前回、出版によって執筆者入ってくる収入(印税)のポイントをご紹介しました。今回は、さらに踏み込んで印税を執筆者側でコントロールする方法をお伝えします。

最近は、紙代や配送コストなどが高騰しています。それに伴い、書籍代も高くなってきました。書籍代が高いと印税も高くなるので、執筆者としては嬉しいと感じる人が多いかもしれません。

ですが、販売数が伸びないというデメリットがあるのです。

特に学習参考書(学参)は、高校生のような被扶養者を対象にしているので、値段が高いと中身が良くても買ってもらえないケースがあります。

では、どうしたらよいのでしょうか。

実は、印税率を下げて本の値段を下げる、という裏技があります。私も当初は知らなかった方法です。ある時、自分の本よりページ数が多いのに価格が安い学参が目に止まりました。どうしてその値段が実現できるのか疑問に思い、編集者に聞いたことがきっかけです。

印税率をあえて下げて書籍の価格を安く抑え、販売部数を伸ばすことで、最終的に入ってくる印税の額を増やすことが狙いです。

一冊あたりの印税が減ってしまうのでもったいないと思う人もいるかもしれませんが、値段が高くて売れなければ、元も子もありません。

もちろん、値段を下げたからといって、本の販売部数が十分に伸びないリスクもあります。ですが、まずは多くの人に手に取ってもらうことが大切です。

気になる印税交渉は二版以後で行うと吉

さて、大切な印税交渉のとっておきのポイントをお教えします。

まず、出版する上で一番お金がかかるのは、初版です。

初版の際は、本のデザインや印刷のための「版」の作成など、さまざまなコストがかかります。初版発行の損益分岐点はだいたい70%といわれています。

初版の売れ行きが順調だと、二刷、三刷と追加で本を印刷(増刷)していくことになりますが、二版以降はデザインや版作成のコストがかからないため、損益分岐点はだいぶ下がります。

よって、初版が全て売れるとプラマイゼロで、二刷以降は確実に黒字化します。そこで、印税率の交渉をする際は、初版の印税は低くしても、二刷以降の印税を上げる契約にすると良いでしょう。例えば、初版は6%、二刷以降は10%とするのです。

この方法であれば、出版社も赤字を回避することができ、著者としても、売れれば印税が多く入るので、両者にメリットがあります。

また、増刷と似た用語で「重版」があります。増刷は同じ内容を刷り直すだけですが、重版は中身を加筆修正して再販することです。ただし、現状では、「重版」を「増刷」と同じ意味で使うことも多いです。こうした用語も知った上で印税の交渉を行いましょう。

西村能一
大学受験予備校講師/教育ジャーナリスト
横浜生まれの横浜育ち。「ノーイチ先生」の愛称で親しまれる。横浜DeNAベイスターズとマラソンをこよなく愛する二女の父親。7年間の私立高校教諭勤務を経て、現職。受講生から「ノーイチ先生」の相性で親しまれている。化学現象が楽しく理解できる解説と生徒が復習しやすい板書が定評。受講生から「化学が好きになった♪」といわれることを生きがいに、授業や執筆を精力的にこなす多忙な日々を送っている。教材や模試の作成・編集にも携わり、学校の先生向けに授業のアドバイス、保護者や子供向けに進学アドバイスや講演も多数。これまでに指導した生徒数は50,000人にのぼる。著書は、学習参考書『改訂版化学早わかり一問一答』『改訂版化学基礎早わかり一問一答』を代表作に、『大学入試 化学反応のしくみが面白いほどわかる本』『直前30日で9割とれる 西村能一の共通テスト化学基礎』(以上KADOKAWA)、共著書として、『ここで差がつく 有機化合物の構造決定問題の要点・演習』(KADOKAWA)、『化学頻出!スタンダード問題230選』(駿台文庫)がある。近年は、一般書執筆に力を入れ、著書『科学の名著50冊が1冊でざっと学べる』(KADOKAWA)は、一般の人に向けて「科学好き」を増やすべく執筆。科学関連の発信や講演、さらに、子育てや教育に関する講演も積極的に行っている。明治大学理工学部工業化学科卒業
twitter @no_ichi_
YouTube @yoshikazu0529
Instagram @no_ichi
2024 7/1
特集記事

塾業界で人気再燃!「プログラミング教育」

本誌の全国122塾への調査で、興味があると回答した塾が82%にも及んだ「プログラミング」。2025年度の大学入学共通テストから「情報Ⅰ」が必…

特集記事

SPECIAL
SPECIAL
SPECIAL
SPECIAL
SPECIAL
タイトルとURLをコピーしました