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医学部予備校勝ち組勢力マップ
業界再編の最前線

医学部予備校業界の勢力図が変わりつつある。本マップは、数多くの医学部予備校の再建を手掛けてきた伊藤隆一氏への取材を基に作成した。「勝ち組予備校マップ」から、業界の現在地と今後の展望を読み解く。
医学部予備校経営コンサルタント 伊藤 隆一

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リソー教育(メディックTMOAS・MEDIC名門会)、英進館(YMS・英進館メビオ・メビオ)、河合塾(メディカルラボ)。現在の医学部予備校業界では、この3グループが勝ち組の中核を形成しつつある。

「医学部予備校 勝ち組 勢力マップ」からは、有力グループへの集約が進む一方、独立系予備校の淘汰が始まりつつある実態が見えてきた。

医学部受験市場で最も優秀な受験生を集める存在として知られるのが鉄緑会だ。この鉄緑会も実はベネッセコーポレーション傘下となっていることは、あまり知られていない。東大理Ⅲや難関国公立医学部を目指す生徒が集まり、医学部受験におけるトップブランドの一つとなっている。

一方、近年は鉄緑会と併用する形でリソー教育グループのメディックTOMASやMEDIC名門会を利用するケースが増えているという。鉄緑会が集団授業を主体とするのに対し、リソー教育は少人数指導や完全個別指導を強みとしている。

特に高所得者層から評価されているのが講師陣だ。リソー教育では講師一人ひとりの学歴や経歴、指導実績を重視したマッチングを行う。医師や研究者経験者など社会人講師も豊富に在籍しており、受験指導だけでなく将来のキャリア形成まで見据えた助言を受けられることが支持を集めている。

こうした受験生や保護者のニーズの変化も、医学部予備校業界の勢力図を大きく変えつつある。

医学部予備校業界で進む再編

今回のマップから見えてくるのは、大手グループへの集約が進んでいることだ。

かつて医学部予備校業界は、創業者や名物講師の存在感によって支えられてきた。小規模でも高い合格実績を出せば生徒が集まり、独立系予備校でも十分に戦えた。

しかし近年は状況が変わりつつある。中でも象徴的なのがYMSだ。長年にわたり医学部専門予備校の代表格として知られ、業界を牽引してきた老舗である。そのYMSが2021年に英進館グループ入りしたことは、業界再編を象徴する出来事といえる。

さらに買収や資本提携の動きも相次ぐ。代官山MEDICALは経営改善コンサルティング会社であるトパーズ・リージョナル・パートナーズの資本参加を受け、一会塾MEDICALは大阪を地盤とする成学社(開成教育グループ)に加わった。プロメディカスは21年に駿台グループ入りを果たし、現在は駿台医学部専門校というブランドで校舎展開をしている。

背景にあるのは経営環境の変化だ。講師採用費や広告宣伝費は上昇し、オンライン対応への投資も求められるようになった。実際、メディカルラボは26年2月にオンライン校を開校し、話題になった。

加えて、受験生や保護者が予備校に求めるサービスも変化している。学科指導の質や合格実績の重視に加え、学習管理、保護者面談、進路相談、出願戦略、面接対策まで総合的にサポートできるかどうかが差別化要因となりつつある。

情報発信のあり方も多様化している。メルリックス学院は長年にわたり医学部の入試分析を続けており、大学ごとの出題傾向や推薦・総合型選抜に関する情報発信力を武器に受験生を集めてきた。一方で、SNSやウェブセミナーなどを通じて受験生や保護者との接点を増やす取り組みも広がっており、広告宣伝の手法も多様化した。

こうした環境変化は、小規模な独立系予備校にとって大きな負担となる一方、資本力や組織力を持つグループ校にとっては追い風となっている。

次の注目はどこか

一方で、これまでのやり方にとらわれない手法で今後の成長が期待される予備校も存在する。

まず注目したいのが、東京・中野駅前の一等地に校舎を構える東京メディカル学院だ。近年は生徒数を急激に伸ばしており、首都圏の医学部受験市場で存在感を高めている。業界関係者からも「勢いがある予備校」として名前が挙がることが多い。さらに理事長である曲氏の経営手腕にも注目が高まっている。

また、メディカルウィングも独自路線で注目を集めている。同校は超少人数制と超高価格帯を特徴としており、富裕層向けに特化した戦略を展開しながらも集客や運用コストの無駄をなくし、安定した経営を実現。一般的な医学部予備校とは異なるポジションを確立しつつある。

駿台グループ入りを果たした旧プロメディカスも注目株だ。塾名を駿台医学部専門校に変えたことで、駿台ブランドが認知されやすくなっており、集客力の強化につながっている。こうした経営基盤の強化によって今後の展開も期待される。

さらに近年は、学科指導以外の分野で専門化が進んでいる。特に医学部入試で重視される面接対策については、自前で講師を抱えるのではなく、外部の専門機関へ委託する動きも出始めた。例えばGrow Smile(NEXT VISION)は、医学部受験生向けの面接指導専門のプログラムを提供しており、複数の塾・予備校がこうした外部サービスを活用しているという。学力指導だけでなく、面接や小論文を含めた総合的な支援体制が競争力となる時代へと移行しつつある。

少子化によって医学部予備校は教育内容だけでなく、発信力や組織力も問われる時代になりつつある。現在起きていることは、教育産業全体の未来を映す縮図ともいえるだろう。

医学部予備校業界の再編はまだ始まったばかりだ。大手グループへの集約が進む一方で、独自路線を打ち出す新興勢力も台頭。次の勝ち組はどこか。そして再編の波に飲み込まれるのはどこか。医学部予備校の勢力図は、今後さらに大きく塗り替わる可能性がある。

伊藤隆一
学校・医学部予備校経営コンサルタント
横浜市生まれ。大学卒業後、株式会社ハイメックス(教材メーカー)、旅館・ホテル業界コンサル会社、教材販売、家庭教師センター、学習塾経営を経て現職。学校・塾・予備校の広報を強みとして、複数の都内私立中高一貫校の顧問、広報アドバイザーも勤める。東海大学教養学部生活経済学科卒業
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