2024.6.26東洋経済新報社主催のイベント『10年後の勝ち組はここだ 「本当に強い大学」の選び方』に弊社取締役の西田が登壇しました。
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学校経営のスペシャリストが語る 「大学経営改善」シリーズ①
少子化時代を 生き残れ

本私立学校振興・共済事業団(以下、事業団)によると、令和5年度の入学定員充足率が100%を超えたのは入学定員 1500人以上の大学のみでした。

それ以下の大学では、規模が小さいほど充足率が低下しています(下図参照)。よって、これから少子化が進み、ますます経営が難しくなるでしょう。

大学の入試定員充足率と経営安定度

計画改善は、5ステップ

今後、少子化に弱い小規模大学は、なるべく早く経営改善に取り組むべきです。以下、そのための3ステップをご紹介します。

①財務状況の確認

まず、事業団の『経営判断指標』と『自己診断チェックリスト』を使い、経営診断を行いましょう。

ここで、どの区分に該当するか確認します。

②「レッドゾーン」「イエロゾーン」に区分された大学は、経営改善計画を作成

経営改善計画作成には、事業団の『経営改善計画立案・実施のための参考資料』が役立ちます。

その際、計画数値は「希望的要素」を排除して作成します。特に、「収入部門」の数値は厳しめに見積もります。そうしなければ、計画を下回った時に、赤字が膨らむ可能性が高くなります。

③最大の難所は人件費の削減

支出の中で、人件費が最も削減が困難なものです。人件費の内訳をしっかり分析し、業務フローや、赤字部門の人件費の見直しを進めましょう。削減計画の作成には、十分な時間と議論を尽くした上で取り組みたいところですが、時には英断を迫られることもあるでしょう。

④「これまで通り」を超えた打ち手の実行

計画を策定しても、予定通りに経営改善が進むことはまずありません。その場合、数値の差が生まれた原因を分析し、計画未達の場合は、新たな手を打つことも考えられます。

実は、ここがポイントです。いわゆる「これまで通りの活動」では成果は出ません。試行錯誤を繰り返すことで、ようやく差を縮めることができます。

⑤「入学定員に満たない大学」の場合

厳しい言い方をすれば、「社会から存在を認められていない大学」ともいえます。現状を大きく改革しなければ坂道を転がり落ちるように赤字は膨らみます。生き残るために強みや独自性を明確にすることが求められるでしょう。それだけでなく、変革したことを受験生にアピールしなくてはなりません。そのためにも、資金は必要です。一刻も早く、ご自分の学校の財政状況を認識し、改革に取り組むことを願ってやみません。

株式会社学究社(塾名ena)に22年余り在職。業界初の株式公開の実務を担当。取締役、常務、専務をはじめ、子会社社長を経て経営不振の親会社に戻り1年で立て直した。その後学校・学習塾などのコンサルタントを経て、東京女学館に入職。14年ほど常任理事を務め、25億円余りの累積赤字を生んだ大学の改革に取り組み、最終的に大学を閉鎖。赤字経営から黒字経営に転換させた。現在はNPO学校支援協議会理事で機関紙の執筆、セミナーの講師を務めるとともに、大学閉学や学校法人財政再建などのコンサルティングを行う
2024 7/1
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