経営難が想定される大学には、3つのタイプがあります。
まず、ここ数年の募集停止・廃止のほとんどを占める短大。
もともと短大は、高等学校卒業者が早期に社会に出られるよう、実務的な知識や技術を短期間で習得させることが目的でした。
しかし、時代の変化とともに、より幅広い教養や深い専門知識が求められるようになり、このニーズに応えられなかった短大が募集停止や廃止の道を選ばざるを得なくなりつつあるといえます。
短大を追いかけるように、少しずつ増えてきているのが女子大の募集停止です。
女性に高等教育を受ける機会を提供すべく設置されてきた女子大ですが、近年はどの大学も男女共学を導入しており、その意義が薄れてきています。
過去来は「お嬢様大学」としてブランド力が高かった女子大も、昨今その魅力が低迷し、女子学生から選ばれづらい状況です。
一度、募集停止をかければその後の復活は難しく、将来的な廃止も避けられないと考えられますが、そういった女子大が今後増える懸念があります。
3つ目は、単科系大学です。特定の分野に特化した専門教育ニーズは一定程度残ると思いますが、少子化で競争が激化し、供給過多に陥ることが予想できます。
圧倒的な差別化要素や競合優位性がないと安定した学生確保を見込めません。また、理学・工学以外の分野ではIT/DXの浸透や技術発展から取り残され、ニーズを満たし続けることが難しい可能性があります。
これら大学の経営存続の分かれ目は、変化する学生・社会のニーズに応えるべく変革を断行できるかでしょう。
これまでは、補助金や税制面で他の事業より安定した経営が可能でした。法制度上も、その公益性から永続的な経営が前提とされてきました。
しかしながら、少子化の影響で、今や一般事業会社のように競争の激しい市場環境に変化しています。
ここで生き延びるには、まず、大学教育によりどのような人材になれるのかを、変化する学生ニーズを捉えながら示し続ける必要があります。
ニーズによっては、学部・学科の垣根を越えた学際的なカリキュラムを作り、世の中に必要とされる人材の育成を打ち出す必要があるかもしれません。
私学法改正対応がカギか
昨年、私立学校法(以下、私学法)が改正されました。これは、私立学校が、社会の要請に応え得る実効性のある改革を推進するためのものです。
法改正というと、規制が強まる「守り」のイメージが強いですが、今回の改正は、外部理事等の意見も取り入れながら建設的に協力、議論し合い、充実した経営を目指す「攻め」の要素も含んでいます。
この私学法改正を契機に、経営改革を推進できるかどうかが、経営難に陥りやすいこれら大学の明暗を分ける可能性があります。