早慶MARCHなどの受験をお考えなら、ぜひ本学も受けてください―。
これは、先月11日に横浜市内で行われた桜美林大学の高校教員対象説明会である。
なんと、平日にも関わらず学校教員を中心に200名以上が集まった。
本誌が全国122塾を調査(2023年1月〜24年5月)したところ、総合型選抜入試(以下、推薦入試)で、桜美林大と慶應義塾大学湘南藤澤キャンパス(以下、SFC)との併願は16%と2桁の伸びだった。その秘密を探るために参加する学校・塾関係者も多いという。
塾関係者によれば、桜美林大の推薦入試が、早稲田大学、慶應義塾大、GMARCH(学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、法政大学)、日東駒専(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)を中心に全国の大学の「登竜門」とされている。
「推薦入試を考えたいなら、ひとまず桜美林大を受験しよう」といわれるほど。
難関大学を受験する前に、桜美林大の受験をすれば、合格率が上がるというカラクリだ。
桜美林大のような「有力中堅大学」をうまく活用した難関大学の受験戦略は、塾現場では密かに当たり前になりつつある。
中堅大学を制する者は
難関大学全体を制する
有力中堅大学をうまく活用した難関大学受験であるが、いくつか条件がある。
まず、参加するだけで、知らぬ間に推薦入試の基礎が身につくような工夫された説明会、イベントが複数回にわたり、行われている大学であること。
もう一つが、難関大学と選抜方法が近く、質の高い選抜(入試問題の出題、面接など)が行われている中堅大学であること。
前者は、なんとなくわかるだろうが、後者は判断が難しいかもしれない。
桜美林大の他、拓殖大学などのような大学が複数ある。
ならば、さっそく筆者から塾関係者の皆様に提案したい。
ひとまず、有力中堅大学と、ひとまず直接繋がろう。
なんといっても、入試のことは、その道のプロの大学職員に直接聞くのが一番である。
一般選抜と違って、合格基準がわかりにくい推薦入試ならなおさらだ。
大学と繋がることによって、推薦入試のリアルな情報も手に入るのもメリットだ。
その上で、欲しい学生について、その大学職員の考え方、そこから垣間見える大学の癖を見抜き、独自分析する部分は「受験のプロ」としての塾のプライドの見せどころだ。
これは、ネットや書籍、大学案内に頼ってはダメだ。第一、そんなことは、載っていない(笑)。
もし、ひとつでも気に入った仲の良い大学ができれば、塾としても、保護者や入塾対象者に何かウリになるはず。
はじめは、形式ばったものではなく、軽い感じでよいだろう。ひとまずは、積極的に情報交換をしよう。
近い将来(10年以内)、一般選抜の定員が大幅に減らされる。早稲田大でも6割、国立大学でも最大5割が推薦入試による入学者となる。
入学者の状況が変われば、良い塾の基準は「推薦入試に強いこと」になってくるのは間違いない。