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異例の「塾大連携セミナー」を
東洋大学で開催

昨年10月、アロー教育総合研究所が「塾大連携セミナー」を開催した。塾に特化した大学関連セミナーは異例と言える。なんといっても、塾関係者から注目度の高い東洋大学、千葉工業大学の2大学の登壇もあって、塾など関係者76人が集まった。

塾大連携セミナー

2024年10月3日、アロー教育総合研究所の主催で「塾大連携セミナー」が東洋大学で開催された。

全国で多くの大学入試セミナーが開催されているが、学習塾や予備校関係者に特化したものは異例と言える。

注目度が高い、首都圏初の「基礎学力型」の年内入試を実施する東洋大の入試部部長加藤建二氏、志願者の伸びで全国2位で注目される千葉工業大学の入試広報部部長の日下部聡氏が登壇した。なんと、塾関係者など76人が集まった。

アロー教育総合研究所の所長であり、本誌の副編集長でもある田嶋裕から「日本の大学入試に影響を与えた2大学」と称してセミナーがスタートした。

東洋大の加藤氏からは、参加者のための「ここだけの情報」もいくつか飛び出し、会場が盛り上がった。

出席した横浜市などの大手の塾関係者は、「高校関係者とは日頃からまめに情報交換を行っているが、大学とは行っていない。大学関係者と話すのは敷居が高いと感じていた。今回、なんでも相談しやすいことが分かった。これをきっかけに弊社も大学との関係強化してみようと思う」と話す。

さらに、「最近、次々に新しい入試方式が出ても、日頃の業務に追われて情報収集が正直追いついていない。新設学部すら把握できていない。年内入試の対策強化が弊社の急務なので、最新の情報と大学側の裏の見解を聞け、勉強になった」(東京都大手塾関係者)といった声が聞かれ、評価は上々だった。

変革期に入るといわれる2025年度の大学入試。受験生の動きも読めない分、関係者から不安の声も多く聞かれる。

こうした最新の情報収集の場として、塾関係者がセミナーに出席するメリットは大きい。だが、実はメリットはそれだけではない。

ライバル塾同士の
情報交換にも

とりわけ会場で気になったのは、日頃、ライバル同士と言える同業者の情報交換の場になっていたこと。通常のセミナーではこうはいかないはずだ。

会場を眺めると、埼玉の大手ライバル塾同士が名刺交換をしつつ、セミナーの話の深掘りや、東洋大や千葉工業大をどの大学と併願させるのか、さらには、塾本部の近隣の高校の情報交換などまで行っていた。

今回の参加者は、多くは進路指導に力のある塾の担当者ばかり。大学に関する質問も通常のセミナーより具体的でかつレベルの高いものであった。

セミナーでは、東洋大と千葉工業大による25年度の入試のポイントの解説の他、元・駿台予備学校職員で教育ジャーナリスト・大学入試アナリストの石原賢一氏などによる24年度の大学入試の振り返りまで行われている。

こうしたセミナーは、ライバルである塾の垣根を越え、教育熱心な関係者の新たな情報交換の場になるかもしれない。

ルートマップマガジン社 取締役/雑誌編集局 ルートマップマガジン編集部 編集長
追手門学院大学客員教授、教育ジャーナリスト、『大学ジャーナル』編集部 編集委員、アロー教育総合研究所 客員研究員。2016年 ダイヤモンド社『週刊ダイヤモンド』記者(学校・教育産業担当)、他学習塾業界誌の私塾界『月刊私塾界』、塾と教育社『月刊塾と教育』記者、追手門学院大学アサーティブ研究センター客員研究員を経て20年から現職。『現代ビジネス』『週刊朝日』『サンデー毎日』『週刊エコノミスト』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』『週刊ダイヤモンド』『ダイヤモンド・オンライン』など教育関連記事の寄稿、コメント多数。全国4,000塾、予備校(関係者20,000人)の取材達成(2022年11月現在)。
著者に『医学部&医者』『関関同立』『最強の高校』(すべて週刊ダイヤモンド 特集BOOKS ダイヤモンド社)など。放送大学大学院文化科学研究科修士課程在籍中
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