2025.7.22新潮社「デイリー新潮」に弊社取締役の西田が寄稿しました
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塾経営の㊙情報vol.12
「週1回」の授業組みが塾を滅ぼす

オンライン家庭教師「メガスタ」を運営するバンザンが2026年2月に自己破産(14億円の負債)した。債権者3000名の中には、約1800名の生徒も含まれている。

昨年1月期には同社は売上高約35億円を計上していたが、過大な広告宣伝費やシステム投資が資金繰りを圧迫したとされる。

すでに始まっている少子化時代を生き残るには、このような「見かけの売上」や「行き当たりばったり経営」「教育への情熱」だけでは、生き残ることはできないという事例だろう。

私が多くの塾現場を見ていて驚くのは、授業回数を「週1回」や「週2回」と安易に決めているケースが多過ぎることだ。

本来、授業とは「目標校合格に必要なレベル」と「現在の学力」の差を埋めるための手段であるはず。

合格に必要な学習量を各教科のシラバス(指導計画)から算出し、試験日までの残り日数から「総授業時間」を逆算して組むべきだ。

塾内にシラバスがなければ、教材会社のものを使うことだって可能だ。

これを怠り、やみくもにコマ数を決めると、「試験までに範囲が終わらなかった」という致命的なミス、そしてクレームにつながってしまう。

「どんぶり勘定」が経営を破壊する

このいい加減な授業組みを行っている塾は、たいてい利益計算をしていない。

生徒一人一人で、どれくらいの授業が必要で、どれくらいの利益を生むのか。それにより、来年度の集客に回せる予算はいくらになるのか、という視点だ。

厳しいようだが、こうした利益計算ができない経営者には、26年以降の未来はないだろう。

なぜ中小塾の多くは、こうした「経営としての塾運営」ができないのか。塾経営者には3つのパターンが存在する。

一つは、「自己顕示欲」の強い経営者タイプだ。 人気講師上がりに多く、自分の「勘」を過信してデータに基づいたカリキュラムを軽視する。人からのアドバイスを拒絶し、いつまでも行き当たりばったり経営から抜け出せない。

2つ目は独自の「教育理念」が強過ぎる経営者だ。 教材の自作や独自の指導法に固執し過ぎる。世の中にはすでに優れた教材やシラバスがあるにもかかわらず、経営者としての貴重な時間を無駄に浪費してしまう。こちらも、「塾生が◯名いれば、ひとまず大丈夫」というどんぶり勘定しかできないことがほとんどだ。

そして最後は「いい人」過ぎる経営者。 採算を度外視してボランティアで補習を行ってしまう。一見美談だが、経営が持続できなければ、預かっている生徒全員を路頭に迷わせることになる。

これら経営者に共通するのは、経営を「自分のやりたいことの実現」と履き違え、ビジネスとしての「計算」を放棄している点だ。

経営には、常に「原価」と「利益」の冷徹な計算が求められる。

少子化で危機感を持っている塾経営者は多いが、そうした計算の話になると途端に興味を失うことがほとんどだ。

少なくとも、年間の売上高予測から、人件費、賃料、その他確実にかかる費用を差し引き、残った費用から広告宣伝費をいくら使えるか、計算してみよう。

そうすれば、どのように集客して生徒を集められるか見込みが立てられる。

最近はスマホの位置情報に基づいて地元の保護者向けに格安で広告を出せるサービスもでている。なんと、今までの1/10程度にまで費用を抑えられた例もあるほどだ。

つまり、予算がなくても、工夫次第で集客はできるのだ。利益計算さえサボらなければ、の話だが。

伊藤隆一
学校・医学部予備校経営コンサルタント
横浜市生まれ。大学卒業後、株式会社ハイメックス(教材メーカー)、旅館・ホテル業界コンサル会社、教材販売、家庭教師センター、学習塾経営を経て現職。学校・塾・予備校の広報を強みとして、複数の都内私立中高一貫校の顧問、広報アドバイザーも勤める。東海大学教養学部生活経済学科卒業
2026 1/15
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