著者は長年学習塾業界に携わり、全国の多くの塾長へのインタビューから、その教育哲学に感化されてきた。ここでは、彼ら塾長や、あまたの教育改革者たちの発言を紹介。ひとりひとりの、学びの先の進路に思いを馳せたい
2004年春、富山市内の某料理店。「今度開校する中高一貫校ですが…」塾長が語りはじめる。「マニフェストを宣言したいんです。そのうちの一つが進学実績。東京大学20名、医学部医学学科20名の合格を目指す。自信はあります」。
その場に同席していたのは、森上展安氏(森上教育研究所代表)、山田雄司氏(㈱私塾界代表、故人)、そして筆者の三人。塾長とは育英センターの片山浄見理事長。
翌年4月、富山県で初の、しかも塾が作った私立片山学園中学校・高等学校が開校した。以来18年。合格実績は東大28名、国立大医学部108名にまでなった(3月上旬現在。13期生までの累計。HPによる)。
累計とはいうものの、マニフェストは達成されたといってよい。開校前、書籍 『夢の学校』(片山浄見著、04年12月刊行、グローバル教育出版)の発刊に携わった著者としてはとても感慨深い。
塾には総合進学塾、補習塾、教育理念塾とあるが、なべて塾長には共通の特質が三つある、と長年の取材で思っている。とにかく子どもが好き、教えることが大好き、そして…「夢追い人」であること。いまや干からびた言葉、ロマンティストと言い換えようか。
片山氏の塾はたった一人の塾生から始まった。以来北陸三県をカバーする大きな塾に成長。もっともっと子どもに寄り添いたいと、学校設立という夢を叶えた。全国の塾人の想いを具現化したのだ。
夢はまだまだ続く。開校20周年の25年、片山学園初等科は全6学年が揃い、小中高12年間一貫教育が完成する。