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どうなる? 319塾(721人)が考える
10年後の「関関同立」
評価・存在感で前年比上昇幅1位の関学、その理由

松田 元気
阪神進学アカデミー 代表
まつだ・もとき/1978年大阪府生まれ。関西大学卒。テレビ朝日系「料理バンザイ!」のテーマソングをきっかけに作詞家デビュー。Kis-My-Ft2など提供。阪神進学アカデミー代表・進路指導アドバイザー。25年以上にわたり4千名超の生徒を指導。『週刊ダイヤモンド』『週刊東洋経済』などの各種メディアへコメント提供多数。2026年夏『探究逆引きマップ』を出版。
田中 良樹
箕面自由学園高等学校 校長
たなか・よしき/1963年兵庫県生まれ。職業会計人を目指し、大学時代は法学部で税法を学んだ。大学院を修了後に、あることをきっかけに教員へ方向転換を決意し、通信教育で教員資格を取得。2校の私立中高一貫校で進路指導を担当し、いずれも進学実績が右肩上がりに。2014年、箕面自由学園副校長として着任。15年に校長就任。21年より学園長兼務。

AD関西学院大学 制作:『ルートマップマガジン』編集部

「関関同立」シフトが進む中、これら関西最難関の四つの私大の10、20年後の序列はどうなるのか。本誌の塾関係者調査では今後伸びる大学として同志社大学に続いたのが関西学院大学(76%)。なんとその伸び率は10%と4大学中トップの注目度だった。今回、その関学を軸に、同志社大学、関西大学、立命館大学、国公立大学との併願関係を追った。

本誌独自調査では94%が「関関同立は20年後も残る」と回答しています。

田中氏残るでしょうね。「関関同立」という言葉はもう何十年も使われている。関西の多くの塾でも「関関同立合格」を一つの目標に掲げますし、保護者にも浸透している。

これだけ長い時間をかけてできたイメージは、そう簡単には変わりません。

松田氏「関関同立という言葉が残るか」よりも、その中で各大学がどう変わっていくかを見るほうが面白いと思います。

4大学の中では、同志社大学(以下、同志社)と関西学院大学(以下、関学)は、長く並べて語られてきました。

田中氏関西の高校現場では、同志社と関学には昔から独特のブランドがあります。

同志社は法学部や文学部が強く、長年にわたり積み重ねてきた実績がある。

一方、関学は、昔から商学部や経済学部が強く、金融やビジネスの世界に卒業生を送り出してきたイメージがあり、同志社とは異なった伝統がある。

松田氏最近はマスコミやアナウンサーに強い社会学部、少数精鋭の国際学部も人気ですね。さらに「関学が好き」という卒業生が多い。同志社と関学は、そういう意味では関西私大の中でもブランドの作られ方が似ているところがあると思います。

関学は人気度・注目度で上昇幅1位に

今回の調査では、今後10〜20年で評価・存在感を高める大学として、同志社に次いで関学が2位に入りました。前年から10ポイントの上昇です。

田中氏関学は今、入試改革や神戸キャンパスの開設など、外から見ても分かりやすい「動き」を続けている。関係者は日々多くの受験生を見ていますから、その変化には敏感です。

同じ調査で、大学の序列を上げる要因として最も多くの票を集めたのが「新キャンパスの開設・キャンパス移転など、改革で動いているか」でした。2番目が「学閥・卒業生ネットワークの強さ」です。関学はこの二つに強みがあります。偏差値だけでは、上位私大の序列はそう簡単には動きません。関学は「西の慶應」とも言われますが、私が取材していても、慶應義塾大学のようにOB・OGの帰属意識が強く、そのネットワークは日本屈指だと感じます。こうした力が大学ブランドを支えています。

田中氏私が特に強いと思うのは、入ってからの満足度でしょう。

関学に進学した生徒に「関学どう?」と聞くと、「すごくいい学校です」と答える子が多い。友人関係、サークル、ゼミの先生が面倒を見てくれる話もよく聞きますし、何より母校愛が強い。

大学は、受験する時の偏差値だけでは測れません。4年間通った学生が「この大学で良かった」と言って卒業していくことは、長期的なブランドを考えたら非常に大きい。

松田氏これはそうですね。

今回、難関国公立大学とのW合格についても調べました。「関関同立」の一般的な序列だけを見ると同志社が先行して見えますが、京都大学(以下、京大)、大阪大学(以下、阪大)、神戸大学(以下、神大)、大阪公立大学(以下、大阪公立)など国公立大学を共通の物差しにすると、同志社、関学との差が必ずしも大きいわけではありません。

田中氏国公立大との関係で見るのは面白い視点です。関西では京大、阪大、神大があり、さらに大阪公立の存在感が大きくなっている。

その下には私大が単純に一列で並んでいるわけではありません。京大や阪大を受ける子が私大を併願するなら同志社というイメージはまだ強いですが、国公立大志向の受験生に関学がどう入っていくかは、これからの入試改革によって変わる可能性があります。

松田氏関学は大改革で一般選抜も変えてきていますからね。次の段階に入っているように見えます。一般選抜の受験者を増やしてきて、そこからどういった層を取っていくのか。ここからが、第二フェーズになるのではないでしょうか。

関学は私大受験生向けの改革を進める一方、共通テスト利用入試では「8科目型」を関関同立で初めて導入するなど、国公立大学からの併願を意識した制度改革も進めてきました(図1参照)。そのため岡山大学、広島大学など関西以外の難関国立大学との併願も増えています。

松田氏そうです。関学は国公立大の有力併願校としても選ばれるようになってきています。

大阪公立の存在感が増しています。関関同立にも影響しますか。

田中氏私は、直接的には神大への影響の方が大きいと思います。

大阪の生徒にとって大阪公立は非常に魅力がある。医学部も含む大きな総合大学になったことで、大学としてのボリュームもある。これまで神大を考えていた大阪の生徒が大阪公立を選ぶケースは出てくるでしょう。

ただ、大阪公立と関学、それに立命館大、関西大学(以下、関大)とでは受験する層も違いますから、「大阪公立が伸びたからこれらがそのまま下がる」という単純な話ではないと思います。

松田氏むしろ面白いのは、その併願先がどう変わるかです。国公立大を第一志望にする生徒が、「私大なら関学も受けてみよう」と今よりさらに多くなれば、かなり変わってくるはずです。

理系学部と神戸キャンパス 二つの新機軸

話を戻しますが、近年注目度が高まっている関学の理系学部はどうですか。

田中氏私はここにかなり可能性があると思っています。

昔の関学の理学部は本当に難しかった。関西で最難関の部類でした。

物理と化学を中心に少人数で、関西の教育関係者から見ても「関学の理学部出身なら相当できる」という印象がありました。

今は神戸三田キャンパスに理学部、工学部、生命環境学部、建築学部の理系4学部がある。

かつての理学部から考えると、かなり裾野が広がっています。

土地もある。これは関学にとって大きな資産です。

そして最後は、「人」だと思います。

新進気鋭の若い研究者をどんどん登用して、新しい研究をバンバンやる。AIでも情報でも宇宙でも建築でもいい。

例えば、「この先生のところで学びたいから関学へ行く」という学生が出てくるようになれば、面白い。

だから私は、今後、これに期待しています。

松田氏本当にその通りだと思います。

これからの大学は、大学名だけでなく「何を学べるか」「誰から学べるか」で選ばれるようになります。

そのとき、とりわけ関学の理系にはまだかなり伸びる余地があると思います。

関学は2031年4月、神戸市灘区王子町に「神戸キャンパス」を開設する予定です。これも大きな動きですね。

田中氏立地だけを見ても大きいですよ。神戸キャンパスは神戸方面からはもちろん、大阪方面からも通いやすい立地になる。

いまの受験生にとって「家から通いやすい」というのは、われわれが思っている以上に重要です。

せっかくなら、それぐらいの気迫で「もう一つの関学」を作ってほしいと期待しています。

新しい学問をやる、若い研究者を集める、留学生も入る。これまでとは違う学生が集まる場所にしていく。

松田氏西宮上ケ原キャンパスの伝統とは違う、新しい関学の象徴になる場所にできるかどうか、そこは非常に期待しています。

評価を動かす要素として、キャンパス整備など「改革で動いているか」が上位に挙がっています。(図2参照)一方で、お二人の話を聞いていると「人」の存在も重要に感じます。

田中氏高校や塾から大学を見ていると、「この大学の魅力は何ですか」と聞かれたときに、自分の言葉で話せる大学職員がどれだけいるのかと疑問に思うことがあります。

「こんな研究者がいる」「こんな学生がいる」「こんな教育をやっている」そこまで自分の言葉で語れる人が必要です。

松田氏だからこそ、担当者が自分の言葉でどれだけ語れるかで、説明会の印象は大きく変わってきますよね。

田中氏高校生が最初に大学と接するのは、教授ではなく入試や広報の職員であることも多い。

その人の話を聞いて「この大学、一回見に行ってみたい」と思わせられるか。

中高の学校改革でも同じですが、学校を変えるのも、最後にその魅力を伝えるのも、結局は人なんです。


こうした改革が続けば、これから10〜20年後には関学の存在感がさらに高まる可能性もありそうです。

田中氏神戸キャンパス、理系学部、学閥・卒業生ネットワーク、国際性、志願者数。この5つがかみ合えば、その流れはさらに確かなものになっていくと思います。

最後になにかありますか。

田中氏私はもう一度、関関同立は「憧れ」を作ることだと思います。

スポーツでもいい。例えば、関学はアメリカンフットボールが強いし、サッカーやラグビーにも実績がある。

阪神タイガースの近本光司選手のような卒業生もいます。

研究でもいいし、起業でもいい。「あの人みたいになりたい」「あの先生から学びたい」「あの場所で4年間過ごしたい」そう高校生が思えるものを増やしていく。

それができれば、20年後の「関関同立」はかなり面白くなると思います。

(2026年8月取材)

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