「新潮QUE」は、2026年5月にサービスを開始したばかりの、情報・教養コンテンツを扱うサブスクメディアです。
新聞や雑誌が「電子版」として有料展開されているケースを目にする機会も多いと思いますが、ざっくりいうとそれらと同じ市場に参入したことになります。
ただ、後発組の我々が目指したのは単なる「雑誌のデジタル化」ではなく、新潮社のノンフィクション系コンテンツを横断的に購読できる総合サイトです。「週刊新潮」や「フォーサイト」などの情報媒体の記事を読めるだけでなく、オリジナルの記事や動画を充実させ、さらに新書や選書などの新潮社の書籍も読めるようにしています。
コンセプトは「問う力」。AIによって簡単に〝正解〟が手に入る時代だからこそ、その答えを導き出すための問いを立てる力、つまり教養や新たな視点を会員の皆さまにご提供できればと考えています。
教育は最重要テーマの一つとしていて、教育政策に切り込んだ記事や「大学」「高校」をテーマにした記事、そして受験に関する実用的な情報を扱った記事など、さまざまなコンテンツを展開しています。それこそ西田さん(編集部注:弊誌編集長)には、大学入試に関するご寄稿や動画出演をいただいたり、「学習塾」の勢力争いを描いたシリーズ記事を書いていただいたりと、お力添えをいただいております。
どの企画も、一般層のみならず、大学関係者や受験産業の関係者など、「誰に見てもらうか」を具体的に想定した上で、独自性のあるコンテンツになるよう意識しています。
西田さんとの雑談の中で、地方出身の私が中学時代に通っていた塾の話をしたときのことです。「そこは合宿が名物ですよね」「最近は××とのライバル関係が激しくなりましたね」など、〝なんでそんなことまで知ってるんですか〟という話がどんどん出てくるんです。こちらの地元心をくすぐるだけでなく、通っていた私が知らなかった話や、他の塾と比べた特徴、そしてビジネス面での戦略などにも通じている様子。誰よりも多くの塾に取材している西田さんだからこそ見える世界だなと思いました。
こうした塾事情を、地域ごとに細かく描いていただければ、面白く、かつ実用的なコンテンツになるのではないか。その場で西田さんに伝えてみると、「いけると思います」と一言。「過去に勢力図のイメージを作ってみたこともあります」とお見せいただいた原案も、ワクワクするような内容でした。
新潮社だから、というわけではありませんが、各地域の塾市場についての客観的な「情報」に加え、「ストーリー」としての面白さも価値として提供できるコンテンツになるといいなという思いで、企画が立ち上がりました。
塾、大学、学校関係者に届けたいこと
まずは各地域の学習塾や予備校の関係者に実用的な情報を提供できるように、その上で一般の方々も、それぞれの出身塾がどう描かれているかを楽しんで読んでいただけるように意識して、西田さんとは何度も協議を重ねました。すでに西田さんがお持ちだった知見だけでも十分記事にはなりそうだったのですが、「この点を追加取材できませんか」といったお願いにも快くご対応くださり、結果、誰が読んでも満足できるような素晴らしい記事にまとめ上げていただきました。井上さん(編集部注:弊社代表)にもハイクオリティな図を作成いただきました。例えば【南関東編/中学・高校受験塾編】の勢力図は圧巻です。
学習塾関係者、特に経営に関わる方々からの反響がありますね。そして私の周囲からも、「子どもの塾選びの参考になった」「愛媛出身の自分が歩んだ受験ルートがリアルに描かれていて驚いた」といった声が寄せられています。何より、この特集をきっかけに「新潮QUE」に登録していただく方も多く、サイト内の閲覧ランキングでは各回が上位を獲得しています。
例えば、学習塾に広い取材網をお持ちの西田さんに協力いただいて、塾の関係者一人一人からお聞きしたお話を、マクロ的な情報として塾側に還元するような企画は今後も実施していきたいですね。あるいは少子化の中で「再編」という波が押し寄せる大学関係者の方々にも、〝大学のサバイバル戦略〟のようなコンテンツや、「塾が大学に求めること」「大学が塾に求めること」といった観点のコンテンツももっと届けていきたいです。例えば、西田さんと、日本大学の西田亮介教授にご出演いただいた動画【激変する序列 大学受験最新動向2026】(YouTubeでも一部公開中)は、塾や学校関係者に限らず、大学経営に関わる方々にも参考になるお話が多いのではないかと思います。
毛色は変わりますが、日本のトップエリート集団である財務官僚の「出身高校」を分析した記事なども好評をいただいております。教育という分野において、既存の枠組みにとらわれず、「新潮QUE」らしいコンテンツを今後もご提供していきます。
