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大手企業が流入する医学部受験業界
「湘南美容クリニック」の受験事業参入がもたらす影響とは

湘南美容クリニックが、2024年4月、業界大手YMSの執行役員である七沢英文氏を引き抜き、医学部予備校事業に参入したのが関係者で話題だ。

その予備校の名はD組。YMSのノウハウと、湘南美容クリニックの資本力で、既存の医学部予備校に大きな衝撃を与えつつある。

今後の医学部予備校業界はどう変わり、生き残るための求められるものは何か、解説していきたい。

まず、D組の特徴は、高単価・高品質だ。七沢氏らのネットワークで、全国から優秀な講師を引き抜いた。

そして、年間授業料は約1000万円。授業後の「復習」を重視した独自の指導モデルを構築し、どんな学力からでも入塾可能で、医学部合格率100%を目指すとしている。よって、D組は、学力が低い富裕層向けの予備校といえる。

D組校舎長の七沢氏が在籍していたYMSは、それとは対象的に、低単価のビジネスモデルだ。

こうした低単価の予備校は、大手塾の買収ターゲットになりやすい。利益率が低いため、買収価格も安くなり、医学部合格のノウハウを手軽に手に入れられるのが理由だ。

実際、YMSは19年に九州の英進館に買収されている。今後、東京・渋谷の医学部予備校Windomや、東京と札幌に4校舎を構えるメディカルフォレストを狙う大手塾も出てくるかもしれない。

資本力がなくても生き残る方法

高単価路線の市場は、大手資本の戦場となっている。英進館メビオ、河合塾グループのメディカルラボ、早稲田アカデミーの傘下となった野田クルゼ、トライグループが買収したインテグラ、リソー教育グループのメディックトーマスなどがひしめく激戦区だ。

よって、今後は、高単価予備校は、資本力勝負になっていくだろう。具体的には、トップ講師を高い授業コマ単価で囲い込むと同時に、広報に資金を注ぎ込んで塾生獲得を目指す形だ。

これらのように資本で勝負できない医学部予備校は、今後、多彩な広報手段で勝負するしか生き残る方法はない。

例えば、京都医塾は営業に注力して顧客獲得に成功している。ユーチューブマーケティングで頭角を現したのは慧修会だ。このように大資本の後ろ盾がなくても集客を成功させている事例も多い。

なお、これから集客に注力する場合、SNSマーケティングがおすすめだ。インスタグラムとLINEを組み合わせたマーケティングは、すでに多くの医学部予備校で成功しており、堅実な方法といえるだろう。

今後は、それに加えてインフルエンサーマーケティングも注目されつつある。次回はそれを紹介する。

伊藤隆一
学校・医学部予備校経営コンサルタント
横浜市生まれ。大学卒業後、株式会社ハイメックス(教材メーカー)、旅館・ホテル業界コンサル会社、教材販売、家庭教師センター、学習塾経営を経て現職。学校・塾・予備校の広報を強みとして、複数の都内私立中高一貫校の顧問、広報アドバイザーも勤める。東海大学教養学部生活経済学科卒業
2024 7/1
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